今後の経済見通しにつきましては、国内設備投資が鈍化しており、また米国経済の減速、国内個人消費の低迷等により、依然として厳しい状況が続くと見込まれます。
提出会社におきましては、平成13年4月に、当事業年度約370億円の売上を計上しておりました日本ジーイープラスチックス社の日本国内における総代理店業務を移管する旨の合意に達しました。利益面への影響は殆どないものの、来期は売上の減少が予想されます。
このような状況のもと、中期経営計画「WIT2000」の実現に向け以下の重点課題に取組み、収益力の向上ならびに経営体質の強化・改善を図ってまいります。
研究開発機能と製造機能の強化を図ってまいります。製造機能の強化を目的として、旧社名長瀬チバ(株)(現ナガセケムテックス(株))、帝国化学産業(株)、ナガセ化成工業(株)、ナガセ生化学工業(株)の4社統合を行い、平成13年4月よりナガセケムテックス(株)として新体制を構築いたしました。新会社発足により電子分野においては、電子材料の原料合成から次世代半導体パッケージ用液状封止材料を中心とする応用製品まで、市場の多様な要求に対応できる体制を整えました。医薬品分野においては、有機合成技術と酵素をはじめとしたバイオ技術の融合を図り、R&Dセンターの保有しているキラル技術の応用展開を図ります。
今後も、当社グループ企業の海外生産、合弁会社設立、海外企業との提携を視野に入れながら、研究開発機能および製造機能を強化してまいります。
経営資源を戦略性の高い事業へ集中し、事業基盤と競争力の強化を図るために、戦略的に投資を行っております。
電子事業におきまして、ドイツのパックテック社より半導体ウエハーの新技術を導入し、清川メッキ(株)と共同でアルファバンピングテクノロジー(株)を設立しました。また現ナガセケムテックス(株)においては台湾で液晶表示装置用薬液の現地生産を始め、世界の液晶パネル製造拠点である日韓台3極にて生産体制を整えました。世界の電子部品生産拠点である東南アジア・中国において生産機能を更に強化する新たな企画を検討中であり、また新しい技術の導入などを積極的に行ってまいります。
ヘルスケァ事業の強化・育成のため、(株)日本メディカルバンクシステムと資本・業務提携を行い、成長が期待される電子カルテ事業へ新規参入いたしました。さらに健康食品、化粧品を通信販売、店舗販売する目的で(株)ハーバルケアを設立し、新たな販売網の構築に努めております。
合成樹脂事業においては、自動車内装部品の大手企業である河西工業(株)と業務提携を行い、グローバル展開が進む自動車産業への取組みを強化いたしました。また、寿化成工業(株)では、食品業界の要求に応えるため、HACCP完全対応の食品包装材料の新工場を栃木県鹿沼に完成させました。
新規事業として、提出会社が運営販売を行っているe-コマースサイト“ナガセダイレクト”にて、他社に先駆けてDVD―Rドライブの販売、個人向け映像編集事業などの取組みを開始し、成長が見込まれるDVD・映像分野において独自性を発揮してまいります。
製造グループの統合を行うだけでなく、販売グループについては染料販売会社4社を統合、長瀬カラーケミカル(株)として営業力の強化を行いました。さらにグループ経営を推進するため、平成12年10月に(株)ナガセビジネスサポート、更に平成13年4月にはナガセトレードマネージメント(株)を設立いたしました。
世界の製造拠点として成長する中国において、6つの販売拠点、3つの生産拠点を運営し、合成樹脂や電子材料の事業拡大に努めてまいりました。今後の中国市場の成長を見据えて、当社グループのコア事業である合成染料や医薬品原料への取組みも強化していく予定です。また同時に化学品の海外展開強化を目的とし、欧州とアジアをつなぐ物流拠点である中東のドバイに駐在員事務所“ナガセミドルイースト”を開設いたしました。今後も適宜海外拠点を強化してまいります。
いかにITを活用するかで、企業の消長は決まります。海外企業とのSCM構築、欧米ITベンチャーとの協業、国内ITベンチャーへの出資、当社独自のe-コマースサイト運営等、ITを利用した事業の構築に取組んでいます。また、海外生産へシフトする顧客の要望に応え、顧客が要求する情報の提供にとどまることなく、日本とアジア間にITネットワークを構築し物流機能の向上を図るなど、顧客と共に付加価値を生み出すための事業を提案してまいります。
国際化の進展、取引領域の多様化、産業構造の変化などビジネス環境の大きな転換期を迎えております。この変化に対応し、新しい価値サービスやビジネス創出ができる組織づくりが必要と考え、提出会社におきましては社内公募制度、FA制度などから構成される新人事制度を導入いたしました。また、中堅社員を対象としたビジネス研修や海外事業所での研修等を継続し、人材の育成にも注力してまいります。
当社グループは、環境方針に「環境に配慮した事業推進」を掲げ、エコビジネスの拡大と創出を通じて環境に貢献していくことを当社グループの環境保全活動の特徴としております。これは、事業活動によって生じる環境への負荷の低減を図ることを目的としております。
特に、技術・情報企業としての強みを生かして、化学品の安全性に関する情報提供、ゼロエミッション達成のための情報提供、環境負荷低減に寄与するエコマテリアル・機器・システムの提案などを積極的に行っております。
該当事項はありません。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、グループ力の総合力を結集し、新たな製品の開発と技術情報を発信することを目的に研究開発活動を行っています。
現在、当社研究開発センターの他、製造子会社の研究開発部門において開発活動を進め、化成品・合成樹脂等の商社活動及び製造関連会社の将来構想に沿った有機化学分野、バイオテクノロジー分野での新技術・新製品の研究開発活動ならびに技術情報評価を行っております。なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、2,844百万円であります。