3 【対処すべき課題】

今後の経済見通しにつきましては、米国経済の回復基調が維持され、それに伴うアジア経済の回復も見込まれます。また、国内景気も米国・アジア向け輸出が先導する形で底入れすると思われます。このような状況の中、中期経営計画「WIT2000」の実現に向け以下の重点課題に取組み、収益力の向上ならびに経営体質の強化・改善を図ってまいります。

 

(1) 経営合理化策の実施

早期退職者募集および自然減により、前期末に比べ単体で約150名の人員削減を行いました。今後も国内販売網の再編によるグループの販管費の削減等を進め、収益力の向上を図ります。

また当連結会計年度は、メキシコでのTV部品組み立て事業および国内人材派遣業からの撤退を行ったほか、ナガセ医薬品鰍フ販売部門の譲渡を行いました。今後も事業の取捨選択を行いながら、経営資源を優位性と戦略性の高い分野に集中し、営業収益力の強化を進めてまいります。

 

(2) 研究開発機能と製造機能の強化

商社という枠組みを超え、「知恵」を生かした新規ビジネスを創造し育成するために研究開発機能と製造機能の充実を図っております。

提出会社の研究開発センターにおいては医薬中間体の合成技術や天然抽出物などヘルスケァ関連事業に集中し商品開発を進めており、その技術開発力は高い評価を得ております。

製造機能の強化については、LCD用ケミカルの製造・リサイクルを行うナガセファインケムシンガポールリミテッドの設立、工業用包装材料の製造を行う長瀬精密塑料(上海)有限公司の設立、自動車用ウレタンモールド製品を製造する広州倉敷化工製品有限公司への共同出資などを実施いたしました。

 

(3) 事業戦略に沿った投資と新規事業の育成

事業基盤と競争力の強化を図るために、成長性・利益性の高い事業へ集中し、戦略的に投資を行っております。

電子分野では、通信モジュールの生産を担っているギガテック鰍ヘ生産能力を拡大し、中国市場向け製品を中心に大きな成長を遂げ、提出会社が企画立案から開発までを担った機能性フィルム用画像処理装置も日本市場ではデファクトスタンダードとなるまで成長をしております。また、ナガセケムテックス鰍ナは、日本ポリマー鰍フ営業権の買収などエポキシ事業の強化・拡大に努めております。

ヘルスケァ分野においては、化粧品・健康食品の新規販売網構築のため、潟nーバルケアの百貨店出店を行いました。また、ナガセケムテックス鰍ナは医薬中間体製造設備の増強を進めているほか、ナガセ医薬品鰍ナは受託生産能力拡大のための設備投資を進めております。

合成樹脂事業においては、自動車のプラスチック部品の設計から試作部品・量産金型の開発エンジニアリングを行う潟fザインアンドダイを設立し、顧客およびグループ会社と共に自動車関連事業の強化を図っております。

今後も、事業戦略に沿った投資を進め、新規事業の育成を図ってまいります。

 

(4) 連結経営の重視

グループの収益性を重視し、グループの合理化・再編を進めてまいります。

多岐にわたる専門性の高い商品を販売するため、事業本部毎に様々な販売会社を運営してまいりましたが、顧客が求める様々な商品を迅速に提供するため、事業分野を横断して顧客・地域密着型組織として販売会社の再編を行い、営業力・収益基盤を強化してまいります。

 

(5) 海外への事業展開強化

成長著しい中国市場を睨み、製造拠点につきましては新たに4拠点を新設し合計7拠点といたしました。また販売拠点につきましては、新たに大連、蘇州、広州に3拠点を新設、合計9拠点としグループとしてのネットワークの強化を図りました。

また、日米欧亜の4極体制が進む自動車産業に対応し、北米での販売拠点の再編を行い、ナガセプラスチックスアメリカコーポレーションを設立いたしました。

ベトナムのハノイに拠点を設置するなど、今後も海外での事業展開を一層強化してまいります。

 

(6) 人的資源の強化

グローバル化が進展し、日本の産業構造も大きな転換期を迎えております。このような変化に柔軟に対応するため、従来の年功的な処遇を少なくし、より成果主義に基づく処遇をとりいれ、同時に人と組織を活性化していくための新人事制度を導入いたしました。また、業績向上に対する意欲や士気を高めるために、提出会社の取締役、執行役員および幹部従業員ならびに子会社の取締役を対象にストックオプション制度を導入いたします。

 

(7) 環境に対する取組み

提出会社は、環境方針に「環境に配慮した事業推進」を掲げ、特に技術・情報企業としての強みを生かし化学品の安全性に関する情報提供、ゼロエミッション達成のための情報提供、環境負荷低減に寄与するエコマテリアル・機器・システムの提案などを行っておリます。金属製品の製造工程などで生じる油剤、洗浄剤の廃液を現場でリサイクルするサービス事業、間伐材や端材の木粉に非塩ビ系樹脂を混ぜ合わせ作られる環境配慮型新建材「ぷらすっど」の販売等エコビジネスの拡大と創出を通じて環境に貢献していくことを提出会社の環境保全活動の特徴としております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループ(当社及び連結子会社)は、グループの総合力を結集し、新たな製品の開発と技術情報を発信することを目的に研究開発活動を行っています。

現在、当社研究開発センターの他、製造子会社の研究開発部門において開発活動を進め、化成品・ヘルスケァ事業等の商社活動および製造関連子会社の将来構想に沿った有機化学分野、バイオテクノロジー分野での新技術・新製品の研究開発活動と技術情報評価を行っております。特に医薬合成技術、その中でもキラル合成技術の応用展開に注力し顧客に提供してまいりました。既にこの技術を用いた商品も実用化されており、今後も商社の枠を超えた研究開発機能を提供してまいります。なお、当連結会計年度における研究開発費用の総額は、20億5千万円であります。



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