第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、設備投資の拡大に加え、外国為替が円安基調で推移し輸出が増加したこと等により順調に推移いたしました。世界経済全体におきましても、米国景気の先行き不透明感の強まりなどがありましたが、景気が大きく後退することはなく、堅調に推移いたしました。

このような状況のもと、業績拡大に努めました結果、国内販売は4,107億8千万円と前連結会計年度に比べ223億1千万円(+5.7%)の増収、海外販売は2,905億3千万円と前連結会計年度に比べ309億7千万円(+11.9%)の増収となり、売上高は7,013億2千万円と前連結会計年度に比べ532億9千万円(+8.2%)の増収となりました。

利益面につきましては、売上高の増加および前連結会計年度に発生した年金資産運用の利差(数理計算上の差異)の償却による利益等により営業利益は216億6千万円と前連結会計年度に比べ40億7千万円(+23.1%)の増益となり、経常利益は232億3千万円と前連結会計年度に比べ44億3千万円(+23.6%)の増益となりました。当期純利益は、固定資産および投資有価証券売却益が前連結会計年度に比べ大幅に減少しましたが、135億6千万円と前連結会計年度に比べ6億7千万円(+5.2%)の増益となりました。

 

事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりであります。
 なお、当連結会計年度より事業区分の変更を行っており、前年比の金額および比率については、前連結会計年度を当連結会計年度において用いた事業の区分に組替えて算出しております。

 

@ 化成品

化成品につきましては、最終用途が自動車に関連した分野を中心に売上が増加したほか、素材市況の上昇による影響などにより汎用化学品の分野も売上が増加したため、全体としては好調に推移しました。

化成品の中で比較的川上寄りの分野をカバーしている機能化学品事業は、ウレタン原料や塗料原料など自動車業界に関連したビジネスに注力した結果、売上が増加しました。また、樹脂添加剤関連も国内・海外とも販売が増加し、汎用化学品の売上増加も寄与したため、全体としては好調に推移しました。

顔料・染料などをはじめとする「色」に関連した商品を取扱う色材事業は、プリンター・複写機などのインク・トナー原料は横ばいとなりましたが、薄型ディスプレイ用の機能性添加剤や、導電性ポリマーなどが伸長しました。染料関連は、注力している海外販売を含めて横ばいにとどまりましたが、色材事業全体としては微増となりました。

洗剤・化粧品などを含む家庭用トイレタリー商品の原料となる界面活性剤のほか工業用油剤、シリコーンおよびフッ素関連などの有機合成原料を幅広く扱うスペシャリティケミカル事業は、総じて好調に推移しました。特に、製造機能を担うグループ企業の中核的存在であるナガセケムテックス叶サエポキシ化合物等の販売が増加しました。

この結果、売上高は2,470億9千万円と前連結会計年度に比べ、248億1千万円(+11.2%)の増収となりました。営業利益は70億1千万円と前連結会計年度に比べ13億5千万円(+24.0%)の増益となりました。

 

A 合成樹脂

合成樹脂につきましては、アジア圏を中心とする海外での売上が増加し、自動車関連業界向けの販売などは国内でも伸長したため、全体としては堅調に推移しました。

プリンター・複写機など精密機器用途の樹脂販売は、東南アジア地域向けを中心に好調に推移しました。香港、台湾を含むグレーターチャイナ圏でのCD・DVDなどメディア関連用途の機能性樹脂は売上が減少しましたが、全体としては売上が増加しました。

自動車関連業界向けのビジネスは、中国・華南地域を中心としてアジア圏での売上が増加しました。北米地域の売上は横ばいにとどまりましたが、日本国内での販売は樹脂・部品とも伸長し、全体としては好調に推移しました。

建材・住宅関連設備用途向けのビジネスは、木質複合素材を用いた自社製品の販売が拡大しました。自社製品以外の建材および樹脂の販売も微増となり、全体として売上は増加しました。

国内での包装資材業界向けの販売は、化粧品容器用途などの売上は増加しましたが、生活資材用途の売上は減少しました。また、合成樹脂関連における製品ビジネスの一環として行っている電子機器用の部品組立てビジネスも売上が減少しました。

グループ内の国内製造会社は、工業用・家電用など各種フレキシブルホース・パイプ製造の東拓工業鰍ィよび食品包装用トレー製造の寿化成工業鰍フ売上は横ばいにとどまり、着色・コンパウンドのセツナン化成鰍フ売上は微減となりました。

この結果、売上高は2,446億8千万円と前連結会計年度に比べ、154億円(+6.7%)の増収となりました。営業利益は65億3千万円と前連結会計年度に比べ1億4千万円(△2.1%)の減益となりました。

 

B 電子

電子につきましては、液晶関連のビジネスが全般的に拡大し、半導体等の精密研磨関連部材の売上も増加したため、全体としては好調に推移しました。

ナガセケムテックス鞄凾フ自社グループ製品を中心とするビジネスは、変性エポキシ樹脂関連の売上が順調に推移したほか、液晶および半導体製造の前工程で使用されるフォトリソグラフィ用の供給・管理装置と薬液の売上が増加し、全体としては大きく伸長しました。

液晶製造の後工程など、液晶ディスプレイに関連するビジネスは、液晶モジュールの売上が大幅に減少したほか、光学フィルムの販売も微減となりました。一方、液晶用部材加工や、電子機器用のアルミ外装材加工などの派生ビジネスが大幅に増加し、全体としては前年並みの売上となりました。

半導体関連のシリコンウェハー加工などに使用される精密研磨関連部材の販売が大幅に伸長したほか、ハードディスク用基板の売上も増加しました。また、半導体製造の後工程で使用される封止材などの販売も好調であり、全体としては大きく売上を伸ばしました。

自社製品の表面検査装置などを含む通信・画像関連は、ほぼ前年並みの売上となりました。

この結果、売上高は1,507億9千万円と前連結会計年度に比べ、187億1千万円(+14.2%)の増収となりました。営業利益は61億6千万円と前連結会計年度に比べ17億円(+38.1%)の増益となりました。

 

C ライフサイエンス

ライフサイエンスにつきましては、ファインケミカル事業は横ばいにとどまり、ビューティケァ事業は売上が微減となりました。またメディカルケァ事業において、前連結会計年度に事業撤退を含む抜本的見直しを行った影響もあり、全体としては売上が減少しました。

ファインケミカル事業は、医薬中間体は減少しましたが、酵素関連、検査薬関連が増加し、全体としては横ばいとなりました。

化粧品・健康食品を取扱うビューティケァ事業は、化粧品関連で新商品を中心に売上が微増となりましたが、健康食品関連の売上が伸び悩み、全体としては微減となりました。

この結果、売上高は535億5千万円と前連結会計年度に比べ、28億4千万円(△5.0%)の減収となりました。営業利益は20億円と前連結会計年度に比べ7億3千万円(+58.5%)の増益となりました。

 

D その他

その他につきましては、DVD映画ソフトなどの一般消費者向け直接販売のビジネスを事業譲渡したことなどにより、売上高は51億9千万円と前連結会計年度に比べ、27億8千万円(△34.9%)の減収となり、営業損失は3億5千万円となりました。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           

 

所在地別セグメントの業績は、次のとおりであります。
 なお、当連結会計年度より所在地区分の変更を行っており、前年比の金額および比率については、前連結会計年度を当連結会計年度において用いた所在地区分に組替えて算出しております。

 

@ 日本

素材市況の改善や自動車関連用途などの販売拡大による化成品事業、合成樹脂事業の伸びに加え、電子事業における部品・部材の加工ビジネスが拡大したため、売上高は4,806億4千万円と前連結会計年度に比べ147億5千万円(+3.2%)の増収となりました。営業利益は144億4千万円と前連結会計年度に比べ25億9千万円(+21.9%)の増益となりました。

 

A 北東アジア

中国・華南地域を中心に化成品事業および電子事業の販売が拡大したため、売上高は1,151億3千万円と前連結会計年度に比べ233億1千万円(+25.4%)の増収となりました。営業利益は、39億6千万円と前連結会計年度に比べ3億7千万円(+10.6%)の増益となりました。

 

B 東南アジア

タイでの合成樹脂事業が伸長したため、売上高715億1千万円と前連結会計年度に比べ101億1千万円(+16.5%)の増収となりました。営業利益は、25億6千万円と前連結会計年度に比べ4億9千万円(+23.7%)の増益となりました。

 

C 北米

化成品事業の販売が好調であったため、売上高は217億2千万円と前連結会計年度に比べ22億3千万円(+11.5%)の増収となりました。営業利益は、1億6千万円と前連結会計年度の営業損失に比べ1億9千万円の増益となりました。

 

D 欧州

電子事業における半導体後工程関連でPAC TECH GmbHを新規連結した影響もあり、売上高は122億9千万円と前連結会計年度に比べ28億7千万円(+30.6%)の増収となりました。営業利益は、4億5千万円と前連結会計年度に比べ3億3千万円(+293.4%)の増益となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、営業活動による収入があったものの、有形固定資産の取得による支出やコマーシャルペーパーの返済による支出、配当金の支払いによる支出などがあったため、219億1千万円と前連結会計年度末に比べ10億1千万円(△4.4%)の減少となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による現金及び現金同等物の増加額は108億5千万円となりました。これは税金等調整前当期純利益を230億9千万円計上したものの、法人税等の支払いが73億5千万円あったこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による現金及び現金同等物の減少額は、前年比136.6%増の52億円となりました。これは有形固定資産の取得による支出が30億1千万円、投資有価証券の取得による支出が13億7千万円あったこと等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による現金及び現金同等物の減少額は84億2千万円となりました。これはコマーシャルペーパーの返済50億円や前連結会計年度の利益処分による配当に加え、当連結会計年度より新たに中間配当制度を導入したことにより、総額28億8千万円の配当金の支払いを実施したこと等によるものです。

 

 

2 【販売の状況】

「1 業績等の概要」および「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報)」を参照願います。

 

 

  

3 【対処すべき課題】

(1) 中期経営計画「WIT2008」における全社戦略の実践

2006年4月より3ヵ年にわたる新たな中期経営計画「WIT2008」(W:Wisdom 知恵、I:Intelligence 情報、T:Technology 技術)をスタートさせました。今後長期にわたる成長を継続していくためには、業績が好調に推移してきた今こそ「体質強化」を図らなければならないと考えております。このため「WIT2008」を「持続的成長への体質強化」を行う期間として位置付け、「攻め」と「守り」双方のバランスを取りながら、ともに強化してまいります。具体的な全社戦略としては、「事業ポートフォリオ戦略の深化」を図るための「攻め」の戦略として、

@ 事業基盤拡大
 A 重点分野への積極投資
 B 高収益への体質改善

の3点を、また「内部体制の強化」を図るための「守り」の戦略として、

C 健全な財務体質の維持
 D リスクマネジメントの徹底
 E 連結経営体制の設備

の3点を実践してまいります。

さらに、これらすべての前提として、

F 人材の質・量の充実

を図ります。

数値目標としては、「WIT2008」の最終年度である2009年3月期には、連結売上高7,700億円、連結営業利益240億円の達成を目指します。

 

@ 事業基盤拡大

当社がこれまで培ってきた数多くの優良取引先との関係やアジア地域を中心とした事業拠点網を活用し、様々な事業活動を行うことによって今日までに業界内で築いてきた当社のポジションをさらに確固たるものとすべく、既存事業の拡充、新規事業の開拓、および拠点の拡充に努めております。
 当連結会計年度においては、2005年12月にフィリピンの輸出加工区に設立したNagase Philippines International Services Corp. が本格稼動いたしました。ベトナムでは、樹脂着色事業の合弁会社も生産を開始し、順調に拡大しております。また中国の各販売会社は、同国の新法令に基づき、人民元建て国内販売を行うための認可を取得いたしました。インドにつきましては、2006年11月に現地法人を設立し、ムンバイおよびニューデリーに拠点を設置いたしました。

 

A 重点分野への積極投資

「WIT2008」での重点分野である「エレクトロニクス分野」、「ライフサイエンス分野」、「自動車関連分野」、「海外事業」を中心に、技術・市場戦略との整合性を検証しながら、厳選された案件に対して、新規投資やグループ製造会社の製造設備の更新等を行い、3年で300億円程度を目安に投資を行ってまいります。エレクトロニクス分野では、2005年11月、台湾に設立した液晶ガラスパネルユニットの薄型加工の合弁会社が、当連結会計年度から本格的に稼動し、更なる生産拡大が見込まれるため、追加設備投資を実施いたしました。また半導体後工程事業での要素技術開発推進を図るため、北九州学術研究都市内に「半導体実装開発センター」を開設するとともに、子会社の PAC TECH GmbH(ドイツ)は、半導体製造用装置の製造ならびにウェハーバンピングサービスのアジア展開強化を図るために、マレーシアに現地法人を設立いたしました。ライフサイエンス分野におきましては、ナガセケムテックス鰍ナ、機能性を有する食品素材であるリン脂質の量産用設備を新設するとともに、ナガセ医薬品鰍ナは、無菌製剤医薬品の分野において、追加設備投資を決定いたしました。

 

B 高収益への体質改善

高収益ビジネスの比率を増大させるため、製造会社やナガセR&Dセンターの存在を核にした当社グループ独自のビジネスを展開し、グループ全体として、高付加価値ビジネスの比率を高めることにより、利益率の改善に努めております。当連結会計年度におきましては、ナガセケムテックス鰍ナのエレクトロニクス関連の製造が拡大いたしました。また同時に不採算事業の見直し等も継続的に行っておりますが、当連結会計年度には、シンガポールを拠点として、設備の省エネルギー診断・設計等の事業を行っていた子会社を解散するとともに、DVD映画ソフトなどの一般消費者向け直接販売ビジネスの事業譲渡を行いました。

 

C 健全な財務体質の維持

当社は、キャッシュ・フローを重視した経営を継続しており、営業キャッシュ・フローの改善に努めるとともに、常に資産の見直しを行い、健全な財務体質の維持を重視してまいります。特に海外拠点において、運転資金管理の観点から、顧客ニーズとのバランスを考慮しつつ、必要最少量での在庫管理・運営を図る体制作りを推進しております。

 

D リスクマネジメントの徹底

当社グループとして、事業遂行に伴い発生する様々な種類のリスクを総合的に認識・把握し、抑制するため、リスクマネジメント体制の更なる充実が必要となっております。このような状況下、当社の事業活動に関わる法規管理の徹底・充実を図るべく、組織体制を見直し、新たにコンプライアンス部を設置するなどの対策を講じております。また内部統制システムの整備に関しても「内部統制推進委員会」を設置し、当社グループとして具体的な点検・確認・記録等を行うプロジェクトを開始いたしました。

 

E 連結経営体制の整備

従来から行っている連結経営体制の整備を更に進め、各事業ごとに関係会社と事業部との連携を強化し、戦略・情報の共有化、人材交流等によってグループ経営の深化を図っております。また、国内外の関係会社の機能を見直し、経営資源の効率化により、持続的成長を可能にするグループ運営体制の整備を推進しております。

 

F 人材の質・量の充実

当社における最大の資産は「人」であるとの認識のもと、事業構造の変化や新たなビジネスに対応できる高度な専門性を持った多様な人材を積極的に採用しております。また、「人財開発チーム」を設置し、海外関係会社の現地従業員が、将来の当社グループ発展の大きな戦力となるための研修プログラムを実施するなど、関係会社を含め、各階層における人材開発を促進しております。

 

(2) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当社は、以下のように財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めています。

@ 基本方針の内容

当社は、上場会社である以上、株主は原則として株式の自由な取引を通じて決まるものであり、株式会社の支配権の移転を伴う大規模買付行為の提案に応じるか否かも最終的には個々の株主の意思に基づき行われるべきものと考えております。かかる観点から、当社としては、企業価値向上に邁進することこそが本分であり、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者を当社自身の判断で定めるべきではないと考えております。
 しかし、ときに市場においては、企業価値向上のために誠実な取組みをしている当社の価値が正当に評価されない状況が生じることも考えられます。株式の大規模買付行為の中には、かかる状況に乗じ、その目的等から見て短期的利益だけを求め、当社の企業価値及び株主共同の利益を毀損するものもあり得るところであります。
 当社は、このような当社の企業価値及び株主共同の利益を毀損するような大規模買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。

 

A 基本方針実現のための取組み

 a.基本方針の実現に資する取組み

当社は、当社の企業価値を向上し、上記基本方針を実現するため、平成18年4月より、3ヵ年の中期経営計画「WIT2008」を実施しております。この「WIT2008」の策定に際しては、当社グループが将来目指す姿として、1)持続的な成長を可能にする強固な事業基盤を維持、拡大し続けている、2)戦略的に集積した技術を生かした独自の事業形態を持っていると市場から認識されている、3)ナガセの機能が付加価値を生んでいる「ナガセ主導型事業」の占める割合が高まっている、4)CSR(企業の社会的責任)を重視した経営を行っている、等のあるべき姿を想定いたしました。

そして、この「WIT2008」の3ヵ年を「持続的成長への体質強化」を行う期間として明確に位置付け「攻め」と「守り」の双方のバランスをとりながら、ともに強化していくことを定めました。

「攻め」の戦略といたしましては、「事業ポートフォリオ戦略の深化」を掲げております。具体的には、今日までに築いてきた国内外における事業基盤の拡大、新たな機能と事業基盤の構築につなげるための重点分野への積極投資、グループ製造会社製品や高付加価値ビジネスの比率を上げると同時に効率性の追求、不採算事業の見直しを継続的に行うことによる高収益への体質改善を行ってまいります。この中期経営計画「WIT2008」の最終年度である平成21年3月期には、連結売上高7,700億円、連結営業利益240億円の達成を目指しており、初年度の平成19年3月期の連結売上高は7,013億円、連結営業利益216億円とそれぞれ過去最高の数字を達成することができました

「守り」の戦略といたしましては、内部管理体制の強化に注力し、連結経営体制を含むコーポレート・ガバナンス体制の整備、健全な財務体質の維持及びリスク・マネジメントの徹底を掲げております。当社のコーポレート・ガバナンス体制においては、以前より経営理念として「誠実に正道を歩む」を掲げており、経営における「迅速な意思決定と実行」及び「透明性の確保」を重要視しております。そうした観点から、平成13年に執行役員制度を導入し、取締役会を「経営方針・戦略の意思決定機関及び業務執行を監督する機関」として明確に位置付けるとともに、平成16年より社外取締役を招聘しております。

利益配分に関する方針といたしましては、企業体質の一層の充実強化と収益力の向上を図り、株主の皆様へ安定的な配当を継続して行うことを基本とした上で、将来の成長に向けた中長期的な資金需要見通しや連結業績動向を総合的に勘案し、配当を行っていく方針です。また、内部留保した資金の使途につきましては、今後の事業活動ならびに経営基盤の強化に有効活用していく考えであります。

以上のとおり、経営の効率性とともにその透明性をも高め、株主、顧客、取引先、社員、地域社会等のステークホルダーの皆様との円滑な関係を構築し、企業価値の向上を更に図ってまいります。

 

 b.基本方針に照らして不適切な者が支配を獲得することを防止するための取組み

当社は上場会社として当社株式の自由な売買を原則として認めるべきであると考えており、当社取締役会の賛同を得ずに行われる大規模買付行為(いわゆる「敵対的買収」)であっても、これを一概に否定するものではありません。また、当社の支配権の移転を伴う当社株式の買付行為に応じるか否かも、個々の株主によって判断されるべき事項であると認識しておりますし、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者を当社自身が定めるべきであるとは考えておりません。

もっとも、株式の大規模買付行為の中には、大規模買付者の示した条件が当社の本源的価値を適正に反映しないもの、株主、顧客、取引先、社員、地域社会等のステークホルダーの皆様との円滑な関係の中長期的な確保が失われる可能性のあるもののほか、その目的等から見て企業価値および株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれのあるもの、当社取締役会や株主が株式の大規模買付行為の内容等について検討しあるいは当社取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの等、当社の企業価値および株主共同の利益に資さないものも少なくありません。

そのような中で、外部者である買収者から、大規模買付けの提案を受けた際には、上記の諸点のほか、当社グループの有形無形の経営資源、将来を見据えた施策の潜在的効果その他の当社グループの企業価値を構成する要素等、様々な要素を適切に把握した上で、当該大規模買付行為が当社グループの企業価値及び株主共同の利益に及ぼす影響を判断する必要があります。

かかる事情を背景に、当社取締役会は、大規模買付行為を行おうとする者が現れた際に、当該大規模買付行為に応じるか否かを個々の株主が判断するための情報と時間及び当社取締役会が株主の皆様に代替案を提示等するための情報と時間を確保し、また、株主の皆様のために交渉を行うこと等を可能として、大規模買付行為のうち当社グループの企業価値及び株主共同の利益に資さないものを可及的に排除するため、そのような大規模買付行為を抑止するための枠組みを構築することが必要不可欠であると判断いたしました。したがって、前記の基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みとして、当社株式の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)(以下「本プラン」といいます。)を導入することを平成19年5月28日開催の取締役会において決議し、平成19年6月27日開催の定時株主総会において、決議いたしました。

本プランは、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保し向上させることを目的として、大規模買付行為が行われる場合に、大規模買付者に対し、事前に当該大規模買付行為等に関する情報の提供を求め、当社が、当該買付け等についての情報収集・検討等を行う期間を確保した上で、株主の皆様に当社経営陣の計画や代替案等を提示したり、大規模買付者との交渉等を行っていくための手続を定めています。

かかる手続が遵守されなかった場合には、取締役会の判断で新株予約権無償割当て等の対抗措置を講じることがあります。当該対抗措置の発動により、結果的に手続を遵守しない大規模買付者に、経済的損害を含む何らかの不利益を発生させる可能性があります。他方、手続が遵守されている場合は、原則として対抗措置は講じませんが、当該大規模買付行為が当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に反すると認められる場合には、新株予約権無償割当て等の対抗措置を講じることがあります。

 

B 具体的取組みに対する当社取締役の判断及びその理由

当社の中期経営計画「WIT2008」は、当社の企業価値及び株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定されたものであります。また、本プランは、取締役会によって恣意的に判断されることを防止するため、独立委員会を設置し、独立委員会の勧告を最大限尊重することを定めており、取締役の地位の維持を目的とするものではなく、いずれも当社の基本方針に沿うものであると考えております。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループは、化成品、合成樹脂、電子、ライフサイエンス、その他の5事業領域で、トレーディング機能、マーケティング機能、研究開発機能、製造・加工機能を活用し、グローバルに事業展開をいたしております。これらの事業の性質上、様々なリスクにさらされており、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末において判断したものであります。

 

(1) 営業活動全般にかかるリスク

当社グループは、化学を基盤として、化成品、合成樹脂、電子、ライフサイエンスの領域において広範に事業を推進しております。従って、日本および世界における化学工業全般の動向に著しい変化が生じた際には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2) 商品市況による影響について

当社グループは、ナフサを原料として製造される石油化学製品の取扱いを化成品事業、合成樹脂事業を中心に広範に行っております。
 石油化学製品はこれら原料市況並びに需給バランスの要因から、製品ごとに固有の市況を形成しており、その変動は当該取引の売上と損益に影響を与える可能性があります。

 

(3) 為替変動による影響について

当社グループは、外貨建てによる輸出入、および貿易外取引を行っており、これら外貨建て取引については為替の変動により円換算後の価額に影響を与えます。これらの取引に対し為替予約によるヘッジを行い為替変動リスクを最小限に止める努力をしておりますが、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。また、当社グループは海外に現地法人を有しており、外貨建ての財務諸表を作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、これらを日本円に換算する際の為替レート変動に伴う換算リスクがあります。

 

(4) 海外事業活動にかかるリスク

当社グループの販売および生産は中国、東南アジア諸国、欧米を中心とした海外での活動の割合が高まっております。当社グループは現地動向を随時把握の上、適切に対応していく方針でありますが、現地の法的規制や慣習等に起因する予測不能な事態が発生し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(5) 株価変動による影響について

当社グループは、取引先を中心に市場性のある株式を保有しており、これらは株価の変動によるリスクを負っています。それらのリスクに対し、所有株式を継続的に見直し、整理する等リスクを軽減する施策を講じておりますが、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。また、株価の下落により年金資産の運用が悪化した場合には、退職給付費用の増加により損益に影響を与える可能性があります。

 

(6) 取引先の信用にかかるリスク

当社グループは、多様な商取引により国内外の取引先に対して信用供与を行っており、信用リスクを負っております。これらの信用リスクの未然防止のため、取引先の信用状態に応じて、担保・保証等の取得などのリスクヘッジ策を講じております。しかしながら、これらの信用リスクが完全に回避されるという確証はなく、取引先の信用状況の悪化や経営破綻等により、当社グループの経営成績および財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(7) 新規の投資にかかるリスク

当社グループは、仲介型ビジネスを基盤として、より付加価値の高いビジネスへの展開を図っております。そのため、ナガセR&Dセンターおよび製造子会社を持つこと等により高い技術・情報の提供を武器に、新規ビジネスへの積極的な投資および戦略的なM&A等の施策を講じております。しかし、それらの施策は従来の事業リスクの低い仲介型ビジネスと異なり潜在リスクの高まりとなることから、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(8) 製品の品質にかかるリスク

当社グループは、より高い付加価値を顧客に提供するためにナガセR&Dセンターおよび製造子会社を有しております。それらの提供する技術・製品の品質には細心の注意を払っております。しかしながら当該製品の不具合等により、販売停止および製品回収の必要性等、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9) 多種類の化学品の取扱いにかかるリスク

当社グループは、化学品を主体として広範な用途で多種類の商品を輸出および輸入しております。輸出については国際的な平和や安全を維持することを一つの目的とした「外国為替及び外国貿易法」や「輸出貿易管理令」などの法規制の適用を受け、また、輸入については「化学物質の審査および製造等の規制に関する法律(化審法)」などの法規制の適用を受けています。これらに対し「安全保障貿易管理委員会」と「化学品管理委員会」を設置し、当該法規制および中国・欧米等の化学品管理に関する法令の遵守活動に努めておりますが、これらの法規制等に抵触した場合、事業活動に制約を受け、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、グループの総合力を結集し、新たな製品の開発と技術情報を発信することを目的に研究開発活動を行っております。

現在、ナガセR&Dセンターにおいては、ユーザーニーズを重視した製品開発、応用研究を進めております。主な研究開発テーマは、医薬品の製法開発に有効な有機合成、微生物・酵素を活用したバイオ関連分野に関するもの、天然物素材の探索・評価技術に関するものであり、また、主要な製造子会社であるナガセケムテックス鰍ニの協業も進めております。ことに非天然型アミノ酸を製造するためのキラル合成技術や、新規酵素の開発(探索・製造・応用)、さらに天然抽出物の化粧品、健康食品への展開では、同センターの技術開発力は顧客からも高い評価を得ております。また、顧客ニーズを的確に把握するマーケティングネットワークと当社のグループ企業に蓄積された有機合成・配合技術を利用し、樹脂添加剤やコーティング材などの開発・拡販を進めております。このような活動を通して数多くの特許出願も行い、収益の拡大を図っております。なお、当連結会計年度における研究開発費用の総額は、25億7千万円であります。

 

7 【財政状態および経営成績の分析】

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末において判断したものであります。

(1) 重要な会計方針および見積り

当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

この連結財務諸表の作成に際し、当連結会計年度末における資産・負債の報告数値ならびに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える貸倒懸念債権、退職給付債務、法人税等などの見積りを行っております。これらの見積りについては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づいて継続して評価・判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

当連結会計年度における売上高は、7,013億2千万円と前連結会計年度に比べ532億9千万円(+8.2%)の増収となりました。

国内販売は、液晶・半導体製品を含む電子事業が好調に推移したことに加え、化成品事業も堅調であったことから4,107億8千万円と前連結会計年度に比べ223億1千万円(+5.7%)の増収となりました。海外販売は、アセアン圏における合成樹脂事業がタイ・ベトナムにおいて伸長したことに加え、グレーターチャイナ圏での合成樹脂事業、電子事業も堅調であったため、2,905億3千万円と前連結会計年度に比べ309億7千万円(+11.9%)の増収となりました。

なお、事業の種類別、所在地別のセグメントの概況につきましては「1 業績等の概要 (1)業績」をご参照下さい。

営業利益は、増収による売上総利益の増益に加え、前連結会計年度に発生した年金資産運用の利差(数理計算上の差異)の償却による利益等により216億6千万円と前連結会計年度に比べ40億7千万円(+23.1%)の増益となりました。

経常利益は、232億3千万円と前連結会計年度に比べ44億3千万円(+23.6%)の増益となりました。営業外損益は15億円6千万円の収益超過となっており、これは関連ビジネスにおける取引先への投資等からの経常的な受取配当金の計上等によるもので前連結会計年度に引き続き、営業外費用を上回る営業外収益を計上しております。

税金等調整前当期純利益は、230億9千万円と前連結会計年度に比べ25億1千万円(+12.2%)の増益となりました。

 これらの結果、当期純利益は、135億6千万円と前連結会計年度に比べ6億7千万円(+5.2%)の増益となりました。

 

(3) 財政状態の分析

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ260億8千万円増加し、4,228億5千万円となりました。流動資産は主に売上の増加と期末休日要因に伴う売上債権の増加及びたな卸資産の増加等により前連結会計年度末に比べ253億2千万円増加し、2,916億2千万円となりました。固定資産は、製造子会社での設備投資等により前連結会計年度末に比べ7億6千万円増加し、1,312億3千万円となりました。

負債合計は、前連結会計年度末に比べ167億9千万円増加し、2,111億8千万円となりました。流動負債は、仕入の増加に伴う仕入債務の増加等により前連結会計年度末に比べ168億6千万増加し、1,771億1千万円となりました。固定負債は株価の下落に伴うその他有価証券の含み益が減少したことによる繰延税金負債の減少等により前連結会計年度末に比べ7千万円減少し、340億7千万円となりました。

少数株主持分を含めた純資産合計は、前連結会計年度末に比べ92億9千万円増加し、2,116億7千万円となりました。これはその他有価証券の含み益の純資産計上額が減少したものの、当期純利益の計上により利益剰余金が増加したこと等によるものです。

以上の結果、自己資本比率は1.1ポイント低下し、48.5%となりました。

 

(4) 資本の財源および資金の流動性についての分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ10億1千万円(△4.4%)減少し、219億1千万円となりました。

当連結会計年度では法人税等の支払い等がありましたが、税金等調整前当期純利益が230億9千万円ありましたため、営業活動で108億5千万円の収入となりました。これに対し有形固定資産の取得や投資有価証券の売買等の投資活動で52億円の支出となりました。また、コマーシャルペーパーの返済や配当金の支払い等の財務活動により84億2千万円の支出となりました。

 

(5) 経営者の問題意識と今後の方針について

当社は現在、2006年4月からスタートした中期経営計画「WIT2008」を推進中でありますが、初年度にあたる2007年3月期は、売上高、営業利益とも過去最高を記録するなど、業績面においては、順調に推移しております。

これらの背景としては、米国、中国経済をはじめとする世界経済が比較的堅調に推移したこと、日本においても緩やかながら景気が順調に拡大していることなど、経営環境として良好な状況が続いてきたことがあります。また、当社の主要な事業領域である化成品、合成樹脂において、原油価格の高騰の影響による販売価格の上昇が、売上高、営業利益等においてプラスの要因となっております。

一方、今後の経済環境に関しては、米国経済の不透明感に加え、これまで高成長を続けてきた中国経済にも大きな変化が予想され、当社と関連の強い、化学工業界においても、中国、中東での石油化学プラントが数年後には新たに稼動することなどにより、世界的な需給動向に大きな変化が起こる可能性が高いと考えております。

 

このような状況下、当社は中期経営計画「WIT2008」において
 @ 持続的な成長を可能にする強固な事業基盤を維持、拡大し続けている。
 A 戦略的に集積した技術を生かした独自の事業形態をもっていると市場から認識されている。
 B ナガセの機能が付加価値を生んでいる「ナガセ主導型事業」の占める割合が高まっている。
 C CSR(企業の社会的責任)を重視した経営を行っている。
等の「目指す姿」を設定し、環境の変化に影響されにくい事業構造の転換に取組んでおりますが、業績が好調な今こそ、この変革のスピードをさらに加速させる必要があると認識しております。

 このため、グループにおける製造機能への投資を積極的に行い、製造機能をさらに強化することによって、従来からの商社機能とのシナジーをより拡充することで、高収益への体質強化を図っていきます。また事業基盤の拡大においては、これまではアジアでの売上が海外売上の8割以上を占めておりましたが、リスク分散の観点からも、欧米にこれまで以上に注力していくことを考えております。
 

 

 

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