国連サミットでSDGsが採択されて以降、様々な企業でサスティナブルな社会を目指す取り組みが施されるようになってきましたが飲食業界における昨今のSDGsについてお教えください。

食材についてはいかがでしょうか？

［儀間 様］安定的・持続的に食材調達する為、視野を広げながらバイヤーがグローバルに飛び舞っております。また、創業当時よりバーティカルマーチャンダイジングを実施し、生産段階や工場・店舗等で食材の破棄削減のため、食材を生かしたメニュー構成を考えております。

新しいシステムを導入されたとお聞きしていますが詳細についてお教えください。

［儀間 様］飲食業界の店舗では、毎日多く出る排水をグリスシールドと言う排水層に入れ、残渣（ざんさ）と油を分けて排水する事が決まっています。今迄の排水層は安全性や衛生面・ニオイの課題、また層をキッチン内に埋める為に出来たホールとの段差で従業員に負荷を与えていました。
これらの問題を改善する為、残渣と油を分ける、コンパクトで操作が簡単な自動掃除をする機器【グリスシールドシステム】を導入しました。今後、社外にも展開していく予定です。
出てきた残渣は破棄しますが、油は店舗で使用する手洗い洗剤にリサイクルし、まもなく使用開始する予定です。

備品についてはいかがでしょうか？

［米田 様］SDGsの取り組みは、経済構造の変換につながる大きな挑戦であると考えています。サイゼリヤでは「3R＋Renewable」に賛同し、調達の方針の骨子としてまいります。
例えば、リデュース・リニューアブルは、2020年2月からストローをバイオマス製品やPLA製品への切り替え、石油由来のプラスチック使用量を減らす取り組みを進めています。また、割れて廃棄するガラス製品をトライタン製品に置き換え、長く大切に使用することを大きな取り組み成果だと考えております。
同様に資源を大切に使用するという考えから、2021年3月から割れる事が少ない木製食器の導入を実施しております。
リサイクルは2017年から店舗で廃棄される金属を集め、現在までに合計37tのアルミニウムのリサイクルを実施しております。
リユースは２年ほど前から使用されなくなった陶器食器を国内外で食器として再利用し、50tの食器をリユースしております。

現在サイゼリヤ様内で【食器】で実施されているSDGsについて詳細を教えてください。

トライタン食器リサイクルの全体像をお教えください。

［米田 様］使用済み食器を再生ペレット化し、新たに成型品化されたものを購入、店舗で使用するというサークルの仕組みです。
現在は全国の店舗から年に２回（春と秋）回収し、再生化しております。

トライタンリサイクルを始められるきっかけは
どの様な事だったのでしょうか？

［米田 様］2018年新品のトライタン製食器の導入を開始しました。その時点で、これらが使用できなくなった際に再利用しましょうという話が出ておりました。トライタンは割れにくい素材ですが、キズなどで使用できなくなるモノも残念ながら出てしまいます。量が少ないので、1年ほど経った2019年からリサイクルを開始しております。

リサイクルされたトライタン商品は、どの様な用途に採用頂けているのでしょうか？

［米田 様］伝票差しにしております。お客様にもリサイクルの取り組みについて知って頂くキッカケになればと考え、お客様の目に触れる商品から選びました。今後もトレー、お皿等へも再生トライタンの使用を考えております。

実際の反響はいかがでしたでしょうか？

［米田 様］当初トライタンの導入のきっかけはお客様への安心安全と従業員の労働力の削減の為でしたが、その当時から従業員からは【不要になったガラス食器等を捨ててしまうのはもったいない】と言う意見は出ておりました。今回のように資源を有効に使用する事はわかりやすい事だと思いますし、受け入れられるのではないかと思っております。また、トライタンだけではありませんが各店舗で春と秋までリサイクルするものを溜めておく必要がありますが、リサイクルの意識が高く積極的に行動してもらっています。
（ちなみに導入してから今まで、食器の破損による怪我は１件も発生していないそうです。)

今後のSDGsの構想についてお教えください。

思い描く未来のサイゼリヤ様像と
発信したいメッセージをお教えください。

［儀間 様］2016年から従業員制度の改定や階差型の賃金制度を導入、また2019年2月からはフラット型組織を導入して個人の能力を最大限に発揮できる組織を目指してまいりました。
また無駄を省くプロジェクト推進部ではエネルギー効率を上げるという事にも取り組んでおります。
今までこういった活動のアピールをしてきておりませんでしたが2021年12月1日に正式にSDGsの組織が立ち上がりましたので、今後は少しずつ我々の活動内容をご理解頂けるよう発信してまいります。

トライタンリサイクルについて今後展望や長瀬産業への要望などございますか？

［米田 様］トライタン素材の使用は、外食産業の中でも広がっていると聞いています。
同業他社含め、トライタンリサイクルの仲間が増える事で、外食産業全体のイメージアップに繋がることを期待しています。
長瀬産業には、現在開発中のトライタン製のプレート食器の開発に協力いただいておりますが、物性情報やラボでの検証など大変助かっております。今後も、再生樹脂含め分析や開発にご支援いただければと思います。
また、リサイクル事業の中心となり、PETや古紙のようにリサイクルといえば「トライタン」と言われるような、トライタン製品のサスティナブルな取り組みを推進していただければ幸いです。

長瀬産業としましては、トライタンのリサイクルプラットフォームが業界全体で普及していくよう頑張ってまいります。