コラム【後編】濱田祐太郎が直撃!1500mは「M-1ネタ1本分」!? 阿吽の二人三脚とそれぞれの次なる夢

前編に続き、お笑い芸人・濱田祐太郎さんがパラ陸上界のレジェンドペアを直撃! 専属伴走者・長谷部匠選手との運命的な出会いと絆、そして目指す「ロサンゼルス2028パラリンピックでの金メダル」とそれぞれの描く未来に迫ります!
どん底の低迷期から「阿吽の二人三脚」へ──長谷部選手との運命的な出会い
濱田:お二人の出会いのきっかけは?
和田:以前の伴走者からの紹介です。実はリオデジャネイロ2016パラリンピック競技大会の前後、当時はフルタイムで働きながらの練習でアキレス腱炎も発症して、記録が大きく低迷する一番苦しい時期だったんです。そんな中、2018年に長瀬産業にアスリート社員として入社し競技に専念できる環境ができたこと、そして2019年に長谷部君と出会ったのが大きな転機になったと思います。2019年春、長谷部君との初めてのレースで、いきなり5000mで15分46秒の自己ベストが出たんですよ。
長谷部:僕自身、当時は伴走の経験が全くなかったので「自分ひとりが無我夢中で走っている感覚」だったんですけどね(笑)。
濱田:相性を感じないまま自己ベスト出た(笑)! 理屈抜きで感覚が合ってたんですね。そこからすっかり意気投合して、今では長谷部さんも長瀬産業に入社して専属コンビになったわけですね!
長谷部:はい。今ではトラック競技からフルマラソンまで一緒に走っています。フルマラソンの伴走って、ルールとして、10k地点、20k地点、30k地点と定められた交代地点で、一回まで伴走者が交代できることになっているんです。でも、僕は交代なしで最初から最後まで1人で伴走し切りたい。途中で伴走者が変わるストレスを、和田さんから無くしてあげたいんです。なので、僕個人では、フルマラソンの記録を2時間10分切り(サブテン)まで走力を上げることを目指しています。
濱田:なるほど、すごい絆ですね! 今まで一度も喧嘩がなく、合宿時も「半分親子旅行みたい」だそうですけど、そんな息のぴったりな2人だからこそ、レース後半の苦しい場面ではどんな声を掛け合っているんですか?
長谷部:レース後半になると、他の選手もキツくなり、ペ―スが落ちてくるので、どんどん前の選手が落ちてきます。「一人ずつ抜かしていきましょう!」と声を掛けて鼓舞しています。
濱田:「ゴールしたら浴びるほどお酒飲むぞ!」みたいな雑談は挟まないんですね(笑)。
長谷部:言わないです(笑)! レースでの疲労を早く回復させたいので、お酒も控えめにして早く寝るくらい、集中してストイックにやっています。

相手の息遣い、背中の気配──1秒を争う究極の駆け引き
濱田:長谷部さんは走りながらタイム管理だけじゃなく、路面の凹凸やカーブの角度、周りにランナーが何人いるかまで瞬時にガイドしてるんですよね。ロープの手応えで「今日ちょっと和田さん疲れてるな」とかも分かるそうで。
長谷部:はい、ロープのテンションで状態が伝わってきます。苦しそうだなと感じたら、「いい時のフォームを意識しましょう!」と声をかけて本来のリズムを取り戻せるよう鼓舞しながら一緒に走っています。
濱田:相手の選手と競り合っているときって、和田さん自身は相手のどこを見てるんですか?
和田:相手の足音や息遣いに集中しています。「あ、相手の息が荒くなってきたな」とか「背中の気配が近づいてきたな」と感じ取って、追い抜く瞬間を探るんです。ラストスパートの時はもう脳がエキサイトして、タイムの計算も忘れて勝手に体が大きく動いて勝てる感覚になりますね。
濱田:完全に本能の野生化ですね! 相手の呼吸まで読んで心理戦をやってるんだ。
1500mはM-1ネタ1本分!? NAGASEカップの見どころと豪華ゲスト
濱田:今回のNAGASEカップでは、和田さんは5000mと1500mの2種目に出場されるそうですね!
和田:はい。1500mは自己ベストが4分5秒27なんですが、短時間で一気にスピードが上がるので達成感がすごいんです。5000mは12周半走る中で、7〜8周目あたりの一番苦しくなってから踏ん張る瞬間が一番の見どころですね。
濱田:4分5秒!? M-1グランプリとかの漫才ネタが基本『4分』なんですけど、僕らが『どうも〜!』って舞台に出ていって1本ネタを終える間に、もう1500m走り終わってるってことですよね!? 早すぎるでしょ(笑)!
長谷部:今回は、素晴らしい実績を持つパラを含むアスリート達を招待した「エリートレース」を設けていますが、そこに久保凛選手や山縣亮太選手といったトップアスリートも参戦します。さらに僕が担当する特別協賛社企画「ブラインドリレー」では、NAGASEグループ従業員とそのご家族、お取引先の方々に、アイマスクをしたブラインドランナーとガイド役でペアを組み、チームでリレーする企画もあるんですよ。
濱田:久保選手や山縣選手が走るとなると、観客がそっちに夢中になって和田さんが走っても気づかれない可能性がありますね……そこは一番美味しいところで和田さんが出て行って話題をかっさらっていきましょう(笑)!
目指すは「ロサンゼルス2028パラリンピック競技大会」金メダル! それぞれが見据える「次なる夢」

濱田:今回のNAGASEカップ、そしてその先に向けて、楽しみにしていることや目標はありますか?
和田:NAGASEカップに関して言えば、子どもたちとの交流企画もあるので今からすごく楽しみにしています。そして、僕自身の最大の目標としては、2年後のロサンゼルス2028パラリンピックでの「51歳での金メダル獲得」です! 誰も成し遂げていない前人未到の領域に挑戦したいですね。
濱田:50代で金メダル取ったら、世の中のスポーツCM出演が全部和田さんに代わりますよ(笑)! 会場を盛り上げて応援の声を増やすためにも、観客のみなさんにもぜひ熱い声援を送ってほしいですね。僕も当日はゲストとして、会場を全力で盛り上げさせていただきます!
和田:ありがとうございます! 会場を一緒に盛り上げていただけるのは本当に心強いです。ちなみに濱田さんご自身は、本業のお笑いで今後叶えたい目標や夢はあるんですか?
濱田:僕はやっぱり「冠番組で単独MCをやること」ですね! テレビに出まくって、普段NHKのニュースしか見ない和田さんにも僕のバラエティ番組を見てもらうのが目標です。あ、ニュースの事件事故の方で全国放送に出ないようにだけお互い気をつけましょうね(笑)。
それに、僕ら芸人には「引退」がないんです。世間から求められなくなったら終わり。だから求められる限りは、ずっと舞台やテレビに立ち続けたいですね。
「2年後のロサンゼルスで50代での金メダル獲得」という偉業に挑む和田・長谷部ペア。そして大会初日には、濱田祐太郎さんもゲストとして会場のMUFGスタジアム(国立競技場)に登場! 世界レベルの走りと爆笑トークが融合する「NAGASEカップ」から目が離せません!

「これが伴走ロープ!?」対談後、濱田さんがパラリンピアンの走りを体験!
パラリンピックで実際に使用されている伴走用のロープを握った濱田さんは、「うわっ、これ引っ張られると勝手にスピード出そう! ちょっと、僕の体力は横断歩道3メートル分しかないんで、絶対に急加速せんといてくださいよ!(笑)」と及び腰になりつつも、最後は長谷部選手のリードに合わせて笑顔でステップを踏んでいました。

当日の会場内体験コーナーでは、ブラインド体験もできます! 目の見えない世界やガイドをする難しさをぜひ体験してみませんか。 実際に体感してみることで、レース観戦の楽しさや凄さが何倍にも膨らむはずです。 当日はぜひ会場に足を運び、迫力あるレースとあわせて体験コンテンツもお楽しみください!
プロフィール
濱田 祐太郎(はまだ・ゆうたろう)
お笑い芸人(吉本興業所属)。1989年生まれ、兵庫県出身。盲目のお笑い芸人として、自身の経験をユーモアたっぷりに語る漫談で2018年「R-1グランプリ」優勝。現在は各種メディアや舞台、講演会などで幅広く活躍。過去には伴走者とともに「大阪マラソン」に挑戦するなど、パラスポーツ体験を通じた活動も行っている。
和田伸也(わだ・しんや)
陸上競技(視覚障害)選手。1977年生まれ、大阪府出身。2018年9月長瀬産業入社。パラ陸上界を牽引し、「ロンドン2012パラリンピック」5000mで銅メダル、「東京2020パラリンピック」では1500mで銀メダル、5000mで銅メダルを獲得。2024年「第72回別府大分毎日マラソン」ではT11クラスの世界記録を樹立(2時間23分27秒)するなど、記録を更新し続けている。
長谷部匠(はせべ・たくみ)
陸上競技選手・ガイドランナー。1997年生まれ、京都府出身。2022年2月長瀬産業入社。和田伸也選手のガイドランナー(伴走者)を務める。「東京2020パラリンピック」や「世界パラ陸上競技選手権大会」など数々の国際大会に出場し、和田伸也選手の世界記録更新やメダル獲得に大きく貢献している。
