“真剣勝負の面白みは全てのスポーツに共通” <br>【対談】日本パラ陸連×長瀬産業(主催)

「失ったものを数えるのではなく、今あるものを最大限生かす」
「障害のあるなしに関わらず、誰しもがひとりでは生きていけない」

2022.06.22

Column

“真剣勝負の面白みは全てのスポーツに共通”
【対談】日本パラ陸連×長瀬産業(主催)

長瀬産業株式会社代表取締役社長・朝倉研二と、日本パラ陸上競技連盟会長・増田明美氏が、
アスリートの力やNAGASEカップの目指す姿について対談しました。

朝倉 増田会長は2018年から日本パラ陸上競技連盟(以下、JPA)の会長をつとめておられます。どのようなきっかけだったのでしょうか。

増田 2012年のロンドンパラリンピック前後から、レポーターとして選手に取材をするようになりました。当時JPAの会長をされていた吉松時義氏が後任を探されていたときに、選手の方からも私の名前を挙げていただいたりしまして。当時は今ほどパラスポーツに注目も集まっていなかったので、「私が選手の応援団長になろう」という気持ちで会長になりました。長瀬産業がブラインドランナーの和田伸也選手を社員に迎えられたのはどういうきっかけだったのでしょうか。

朝倉 和田選手が長瀬産業に入社したのも、増田さんがJPAの会長になられたのと同じ2018年です。和田選手は2012年のロンドンパラリンピック(5000m)で銅メダルを獲得しましたが、2016年のリオではメダルに届かなかった。当時はフルタイムで働きながら競技をしていたので練習時間の確保が難しく「このままでは世界に取り残される」と危機感を持っていました。よく話を聞いてみると「練習に集中できる環境を望んでいる」ということだったので、それならば社員として迎え、社員みんなでサポートしよう、と。スポンサーとしてただお金を渡すという形にしなかったことが良かったと思います。

増田 実はロンドンパラリンピックの時、「和田さんあの年齢(当時35歳)で、5000mでよくメダルが獲れたなあ」と思っていたんです。その後成績が伸びない時期もありましたが、2021年の東京パラでは1500mで銀メダル、そして5000mで銅メダルに返り咲き。「恐るべし44歳!」と思いました(笑)。この年齢で記録を更新し続けるというのは本当にすごいことです。きっと社員の皆さんの応援が力になっていると思います。受付で和田選手のパネル展示を見せていただきましたが、会社としての「一体感」を感じました。

朝倉 ありがとうございます。やはり企業なので、アスリート社員として彼を迎える“意味”は必要です。私は和田選手に、グループの一体感を創り出す役割を期待していますので、それが少しでも進んでいるのであれば嬉しいです。

増田 7月には第1回NAGASEカップが開催されます。民間企業に特別協賛をしていただくとても価値がある大会だと思っています。NAGASEはどんな会社なのかと色々勉強させていただきました。勝手な印象ですが、目立たないけど頑張って、コツコツ人々を幸せにしている会社なのかなと。その魂はアスリートと一緒だと思います。大会を通して、NAGASEとアスリートがお互いに励まされる関係性になればいいですね。

朝倉 ありがとうございます。いずれはトップアスリートの皆さんと同じ会場で、次世代を担う中学生や高校生が競うレースも企画したいと考えています。NAGASEカップが、若いアスリートたちの目標の場所になれば嬉しいです。第1回の会場は東京の駒沢陸上競技場ですが、今後はグループの子会社がある岡山など東京以外の都市でもNAGASEカップを開催したいです。また、社員にボランティアを通じて社会との接点を持つ場も提供したいという想いもあります。JPAや関係者の皆様とお話をさせていただきながら、大会を育てていきたいです。

増田 素敵な考え方ですね。パラスポーツだから社会に発信できるメッセージがあると思います。私もいつも選手たちに元気づけられていますが、特に「失ったものを数えるのではなく、今あるものを最大限生かす」という考え方、そして「障害のあるなしに関わらず誰しもがひとりでは生きていけない」というメッセージは特に大事だと思っています。

朝倉 全く同感です。そのうえで、私は「パラスポーツ」という区別は必要ないのではないかと、最近つくづく思うようになりました。記録に挑むアスリートの気概、その真剣勝負の面白味は、全てのスポーツに共通するものだと思っています。NAGASEカップでも、そうした勝負の数々を楽しみにしています。増田さん、今日はありがとうございました。

増田 会場で一緒に応援しましょう!

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