Chapter 01

マテリアルで企業と社会の課題を解決に導く
ビジネスデザイナー
世の中は、これまでにないスピードで変化しています。社会価値と経済価値は両立できないという「トレードオフ」の考え方から、社会、とりわけ環境への配慮が経済価値の前提となる「トレードオン」の時代へと変わってきています。さらに、海外勢力の攻勢や異業種からの新規参入、経済安保、地政学リスクなど、一昼夜で世界やマーケットが様変わりする可能性を意識しながら、これまで以上に早いスピードでグローバルスケールに進化していくことが、長瀬産業には求められていると私は強く感じています。
NAGASEグループは、190年の歴史を通じて、世界中のステークホルダーとの信頼関係を築いてきました。これは、社員一人ひとりが、会社の経営理念である「誠実に正道を歩む」を日々の活動の中で実践し続けてきたからに他なりません。世界中のお取引先・お客様のモノつくりの課題に真摯に向き合い、その課題に応える提案を行ってきたからこそ、現在の長瀬産業の姿があります。長瀬産業は、モノつくりが抱える課題に対して、素材を通じて貢献してきました。長瀬産業の機能であるサーチ(見つけ)&デベロップメント(育む)や、マッチングの機能を駆使し、モノつくりの課題の解決のために、あらたなビジネスモデルをデザインしていくことが、長瀬産業らしさであり、強みだと信じています。昨今、モノつくりにおいても、「大量生産から適量生産」や「モノ売りからコト売り」の時代に入り、モノの生産と消費量は減少していくと言われています。しかし、モノ自体がなくなることはありません。むしろ、モノつくりは、電動化、無人化、自動化、省エネ化に加え、トレーサビリティ、リサイクル、廃棄方法など、新たなテーマや課題に溢れています。長瀬産業は、サステナブルなモノつくりに貢献するべく、これらの課題解決に向けて取り組んでいます。いつの世にも、モノつくりには課題があり、私はその課題に対して「素材(マテリアル)を通じて貢献するNAGASE」でありたいと考えています。まさに、長瀬産業のビジョンである「見つけ、育み、拡げる」ことを体現し、「人々が快適に暮らせる安心・安全で温もりある社会」の実現に向けて取り組んでいきます。
私たちは、化学系専門商社のリーディングカンパニーとして認知されています。もちろんそのことに私や社員は誇りを持っており、その分野で世界一を目指しています。ただし、今の長瀬産業において「化学」「商社」は一側面に過ぎません。エレクトロニクス、モビリティ、エネルギー、ライフ&ヘルス、バイオ、デジタル・・・と、そのフィールドは多岐にわたり、保有している多様なビジネスモデルをさらに進化させていく、そんな発展の途上にある企業体です。
進化するモノつくりの課題に貢献するために、私はNAGASEの人の成長に注力していきたいと考えています。NAGASEグループの命であり魂である「人」、これこそが190年続いてきた源だと私は思います。「人」をマネージするのではなく、人が成長する「学びの場」をマネージする会社を実現することに注力していきます。人が、学び、挑戦し、成長し、そして自己実現できる場こそが、会社と従業員の目指す姿であり、従業員エンゲージメントであると信じています。また、あらゆる課題を解決するためにも異文化、異見、異ジェンダー、異世代の意見に耳を傾け、お互いをリスペクトし、高め合えるような企業文化を創り上げていきたいとも考えています。