朝倉研二 代表取締役社長によるグループ社員向け年頭挨拶を下記のとおりお知らせいたします。

長瀬産業、NAGASEグループ社員の皆さん、明けましておめでとうございます。
人々が生涯忘れることのない一年、そして人類の歴史においても深く刻まれることとなった特別な年、2020年を終え、新しい年を迎えました。2021年が皆さんにとって健康で、平和で、希望に満ちた年となることをお祈りしています。

今なお世界規模で新型コロナウィルスの感染拡大が続いています。世界各地で働くグループ各社の社員、そのご家族において罹患された方々に心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い回復を願っています。そして、今なお昼夜を問わず、人々の命を守るために懸命に働かれている医療従事者の皆様に深く敬意を表させて頂きたいと思います。

経済界を見渡すと、このコロナ禍にあって、多くの業種、多くの企業が痛み、傷つきました。我々NAGASEグループも、多くの難しい局面にさらされました。しかしそのような状況においても、2020年、一企業集団としてしっかりと成長し続けることができました。これはひとえにグループ社員全員の努力、頑張りの賜物です。私はグループのリーダーとして皆さんに頭が下がる思いでいっぱいです。誇らしく思っています。本当にありがとうございます。

業績面ではグレーターチャイナがグループ全体を引っ張ってくれました。一年前、新型コロナウィルスのパンデミックは中国・武漢市に端を発したわけですが、数か月間の厳しい制限、制約を経て、中国経済は瞬く間に回復し、夏前にはほぼ平時の状態に戻りました。中国各地に展開するグループ各社はリモートワーク中心ながらも取引先との関係をしっかりと維持し、当初計画を大幅に上回る実績を上げ、グループ全体の業績に大きく貢献しています。

我らが和田伸也選手も東京パラリンピックが延期となったことで、モチベーション維持や調整で苦労したことかと思いますが、アジア記録を塗り替えるなどしっかりと成長を遂げています。この夏の大会での活躍を期待するところであります。

「変革」を旗印、目標とした中期経営計画「ACE-2020」が間もなく終了します。残念ながら計数面での目標の達成は難しい状況です。出来たこと、大きく進展したことも多々ありますが、うまくいかなかった施策もあります。今日ここで一つ一つを論じるつもりはありません。ただ今一度、各組織において徹底した振り返りを行い、できたこと、できなかったことの真因を見つけ出し、次の計画遂行に役立てて欲しいと思います。

最終年度である今年度、私が手応えを感じ、嬉しく思っていることを一つお話しします。ACEのA(Accountability)、すなわち主体性というものが、多くの組織、また個人個人にしっかりと芽生え始めたということです。コロナ禍にあって、アフターコロナ、ニューノーマルなどについて考える中で、社員一人一人がこれまで以上に変化を意識し、変革の必然性を肌で感じたことが、主体性を持った行動を後押ししたのかもしれません。DX関連、またNTV※(NAGASEテクニカルバイタリティプログラム)での各テーマなど、たくさんのプロジェクトが立ち上がり進行中です。これらの多くは組織をまたがるプロジェクトであり、自ら手を挙げたメンバーを中心に運営されています。組織内での日々の活動で忙しい中、時間を割いて新しいプロジェクトに参加しよう、挑戦しようという姿勢はまさに主体性の表れであり、頼もしく思います。プロジェクトへの参加だけではありません。新しい技術、知識を吸収しようという姿勢もグループ内で確実に拡がっています。また管理部門からの新しい提案も数多く見られるようになりました。私はこのグループ内のムーヴメントが今年ますます拡がることを期待し、応援していくつもりです。

ワクチンや治療薬への期待が高まっていますが、少なくとも今年前半は新型コロナウィルスによる数々の制約が続くと予想されます。そのような厳しい環境下ですが、4月から新しい中期経営計画をスタートさせます。益々早まる各分野でのテクノロジーの進化、環境対応ビジネスの加速、そして企業に求められる社会的価値の向上などを念頭に置いた「質の追求」をテーマとした計画となります。昨年から始まった計画策定プロセスにおいては、各世代に参加してもらい、既にいくつもの頼もしい計画も届いています。スタートまで残り僅かな時間ですが、引き続き組織内でしっかりと議論し、大胆な計画を策定し、推進して下さい。2032年、創業200周年に向け我々は歩みを止めるわけには行きません。いつもお話していることですが、「全員参加」で新しい計画に挑んでいきましょう。

コロナ禍にありながらも、日々世界の情勢は大きく変わりつつあります。ニューリーダーのもとでの米中、そして日本の関係はもちろんのこと、東アジア、アセアン、ヨーロッパなど、どの地域からも目が離せません。そして社会課題、環境課題への取り組みは、企業活動の大きな要素として注目され、決して軽視できない重要なテーマとなってきました。

NAGASEグループでは取り巻く環境の変化にいち早く対応すべく、グループ全体のテーマとしてDX関連に多くのリソースを投入し、準備を進めています。また、サステナビリティ関連の取り組みも開始し、今後グループ全体への浸透を図っていく予定です。ただ、それだけでは足りません。皆さんそれぞれが地域、マーケット、取引先がどう変わり、何を求めているかを素早く察知すること、そしてそこで何をすべきか、何ができるかをスピーディーに考え出すこと、まさに「見つけ」「育み」が今こそ求められています。是非グループ全体で再確認して一年のスタートを切って欲しいと願っています。

そんな意味を込めて、今年のスローガンは「BE READY!」とします。時代の変わり目に立ち会う幸せを感じ、全員でニューノーマルに向かっていくという心意気を示しています。是非心に留めてこの一年を過ごして下さい。

皆さん、どんなに強い志があっても、どんなに魅力的なテーマが見つかっても、心身ともに健康でなければ何も成し遂げられません。緊急事態宣言の再発出も検討されています。また地域によっては更なる規制が近日中に発せられるでしょう。新型コロナウィルスを甘く見ず、決して軽率な行動をとることなく、それぞれの地域行政、また会社の指示のもとで、適切な対策をとりつつ活動して下さい。

集うことの喜びは、もう少し我慢しましょう。私も皆さんのいる現場に顔を出すことができずもどかしい想いをしていますが、もう少し辛抱し、自由に動き、語り、集うことができる日が一日も早く到来することを待つことにします。

最後になりますが、全従業員の皆さん、並びにご家族にとって健康な一年である事、そして世界中の人々が安心で安全な生活を一日も早く取り戻せることを祈念し、2021年の年頭挨拶といたします。

2021年1月4日
朝倉研二

 

※:イノベーションをボトムアップで推し進める部門横断型のコミュニティ活動