年号 長瀬産業株式会社の歩み
2000年

ISO14001の認証取得

今日、環境関題が深刻化して地球温暖化、オゾン層破壊、酸性雨、森林減少や砂漠化などが顕著になり、地球上の生命活動を脅かしかねない状況になっている。 1992年にリオデジャネイロで「環境と関発に関する国連会議」(地球サミット)が関催されて以降、環境関題は地球規模で解決すべき重要な課題としてクローズアップされてきた。

こうした状況の中で当社も、この環境関題にどう対応すべきかが1990年代に残された重要課題と位置づけ、平成11年(1999)5月に「IS014001」の認証取得を目指すことを決め、認証取得に向けて「地球環境委員会」とその事務局として「地球環境推進チーム」を社内に設置した。

IS014001の目的は、企業の全社的な環境マネジメントシステムにより環境保全及び汚染の予防を継続的に運用し、その結果として環境が改善されていくことにある。また、IS014001認証取得による効果は、第一に「環境に対する負荷の軽減」だが、企業にとっての付加効果として、1.「地球に優しい企業」としての企業イメージの向上、2.グリーン調達、国際入札条件などに対応できる「ビジネスパスポート」となる、3.取引先からの「環境配慮の資材調達要求」への対処などが考えられる。

認証取得に向けた全社あげてのキックオフ大会は平成11年(1999)7月5日に行われ、当社は目標通り平成12年4月28日にIS014001の認証を取得した。



染料4販社を統合-長瀬カラーケミカルの発足

染料事業は当社の創業以来、今日まで手がけてきた事業で、長く中核事業の一つであった。そして染料部は長く当社のマザーディビジョンと呼ばれてきた歴史を持つ。しかし、近年は主要市場であった繊維産業の海外シフト、製品の輸入など、産業そのものの構造的変化から国内の市場規模は年々縮小し、国内染料市場における当社のシェアはおよそ20%とトップの地位を堅持しているものの事業は厳しい環境下に置かれてきた。

こうした状況の中で当社は、事業戦略の明確化と更なる合理化の推進により、染料事業のリーディングカンパニーとして存在感のある企業へと発展を図るため、平成12年(2000)4月に、ナガセ染料販売、ナガセ京滋、ナガセ東海、ナガセテクノカラーの販売子会社4社と、当社染料部が担当していた大手繊維メーカー向け繊維加工関連ビジネスを統合して長瀬カラーケミカル株式会社を設立した。

また、長瀬カラーケミカルは平成14年(2002)9月に、中国に長瀬有色化学技術(上海)有限公司を設立し、上海テクノセンターを開設した。これは縮小する国内市場とは逆に、成長を続ける中国や東南アジア市場で、染色加工業者に対する営業や技術サービスの拡大を推進するための新たな事業展開である。

時代
背景

時代背景

2000年
三宅島雄山が噴火
新五百円硬貨の発行
都営地下鉄大江戸線が開通
国内で一般に向けたブロードバンドの普及が加速化
2001年

新生ナガセケムテックスの新たなスタート

平成13年(2001)4月1日、当社の主要製造子会社であるナガセケムテックス(NCX)、ナガセ化成工業(NKK)、帝国化学産業(TKS)、ナガセ生化学工業(NBL)の4社が合併し、資本金24億2000万円、売上高約250億円、従業員数約500名という新生ナガセケムテックス株式会社が発足した。

ナガセケムテックスは、平成12年に長瀬チバ社の全株式を取得し、長瀬産業100%子会社のナガセケムテックスに社名変更し誕生した。また、ナガセ化成工業とナガセ電子化学は、平成12年に、ナガセ化成工業を存続会社として合併した。

この4社統合の目的は3つあった。第一は技術、設備など経営資源の有効活用である。経営資源を最適なかたちで有効に利用することにより経営効率が向上し、グローバル市場で勝ち抜くためのコスト競争力が高い商品の提供を可能にするからだ。

第二にはスケールメリットの追求がある。企業規模の拡大によるスケールメリットを生かすことにより、人的交流の活発化、原料購入や物流の共同化、計画的かつ重点分野に集中した投資等が可能になる。

そして第三は事業分野の有機的な結合と再編である。事業分野を統合・再編することによってさまざまなシナジー効果が期待できる。

ナガセグループは、メーカー機能の中核を担うナガセケムテックスの発足によって、営業部門、研究開発センターとの協業をより高度なものとし、市場の変化に素早く対応するとともに事業再編や結合をスムーズに推進できる、フレキシブルな体制を整えたのである。



アセアン、グレーターチャイナ拡大戦略

企業にとって成長が期待できるマーケットに適切な投資とマンパワーを集中させることは、企業の存続と発展のための絶対条件である。この観点に立って当社は海外事業―――とりわけ香港、台湾を含むグレーターチャイナ圏とアセアン市場に経営資源を集中させた。そして平成13年(2001)春、長瀬洋社長は、「平成18年度までに合成樹脂、電子材料に加え、染料、化学品の輸出入を拡大させるとともに、現地生産事業への投資を積極化させることで、グレーターチャイナ市場での売上高1500億円、アセアン1000億円を目指す」と宣言した。13年3月期時点の両市場における売上高はともに600億円前後であり、きわめてハードルの高い目標であった。しかし当社は、まさにグループの総力を結集して目標達成にチャレンジしていった。こうした取り組みが奏功し、平成17年度のグレーターチャイナ圏売上高は目標を超える1,549億円を達成した。

時代
背景

時代背景

2001年
アメリカ同時多発テロが発生
iPodの販売が開始される
2002年
第17回FIFAワールドカップが日本と韓国で共同開催
2005年
愛知万博が開催
2007年

創業175周年を迎えて

創業175周年を迎えるに当たって、当社は通常の株式配当金に加え1株につき2円の記念配当を実施した。また社員、株主、取引先、国内外に100社を数えるグループ各社などに対して謝意を表し、祝意を共有していただくことを願って各種の記念事業を計画・実行してきた。

創業日である6月18日には、同日付の日本経済新聞朝刊に全面広告を掲載した。

「誠実に正道を歩む」---。謝意広告に謳ったメインコピーは、創業から今日まで、時代を超えて変わらぬ長瀬産業の経営理念であった。

江戸から明治、大正、昭和、平成という時代の変遷のなか当社は、化学を基盤とする商社として世界の技術動向、マーケットを見据えながら、取引において信義を重んじ、誠実を旨とする堅実な経営を続けてきた。この姿勢を堅持しながら当社の全役員、社員は、未来に向けて次の一歩を踏み出そうとしている。広告の言葉は、そうした思いを凝縮したものであった。

創業175周年の謝意広告は、日本経済新聞のほか、週刊東洋経済、週刊ダイヤモンド、THE21、日経ビジネス、WEDGE、文藝春秋、化学工業日報の各紙誌上にも掲載され、東海道新幹線の新型車両「N700系」の車内文字広告でも流された。

日本経済新聞掲載広告(平成19年6月18日)

日本経済新聞掲載広告
(平成19年6月18日)

時代
背景

時代背景

2008年
アメリカで黒人初の大統領が誕生
2009年
裁判員制度スタート
米GM、経営破綻 国有化へ
2010年
南アフリカでサッカーW杯(日本ベスト16)
米アップル社「iPad」発売
ノーベル化学賞(根岸英一・鈴木章)
2011年

バイオ関連事業の強化

会社更生手続き中であった岡山のバイオ関連企業、林原のスポンサーに決まり、総額700億円の拠出により、100%子会社化した。

1883年に水飴製造からスタートした林原は、「トレハロース」に代表される食品素材や美白化粧品に使用される安定型ビタミンC「AA2G」等の製造・販売を行う。他社がやらない、他社にはできない独自のテーマで研究を行い、高度なバイオ技術を持つ世界的な研究開発型企業として成長してきた。

今後は当社と林原でシナジー創出を目指す取り組みを本格化し、グループの研究開発機能や販売機能を融合させ事業拡大を図っていく。

株式会社林原 (機能糖質工場)

株式会社林原(機能糖質工場)

時代
背景

時代背景

2011年
東日本大震災(3/11)
サッカー女子W杯でなでしこJapan、米を破り世界一
2012年

中期経営計画「Change-S2014 」始動

3ヵ年中期経営計画「Change-S2014」を新たに策定し、基本戦略に「事業と運営の質の向上を加速して(Speed up)、重点分野のバリューチェーンにおいてナガセグループの総合力を発揮し(Step up)、独自のソリューションをグローバルに展開することにより、持続的に成長する(Sustainable growth)」を掲げた。

事業セグメントを、バリューチェーンでの位置付けと、主たる担当業界によって「機能素材」、「加工材料」、「電子」、「自動車・エネルギー」、「生活関連」の5つに再編成し、「バイオ」、「環境・エネルギー」、「エレクトロニクス」関連の重点分野を中心に、当社グループの特徴を生かした事業の強化、創出を目指す。

時代
背景

時代背景

2012年
東京スカイツリー開業
ロンドン五輪(7/27~8/12)
2015年

朝倉社長就任

長瀬洋会長(当時、社長)からバトンを受け継ぎ、新たなNAGASEへ

創業200周年に向けて

積極的な海外戦略と新たな事業領域へのチャレンジを進める最中、NAGASEグループのあるべき姿を再定義するべく理念体系を刷新し、長期的な計画に沿った中期経営計画が必要という結果から、長期経営方針を策定した。

NAGASE経営理念、NAGASEビジョン、社員の行動指針NAGASEウェイをグループの共通の価値観と定義し、グローバルブランディングプロジェクトを始動。

時代
背景

時代背景

2015年
北陸新幹線開通(3/14)
マイナンバー法施行(10/1)
ノーベル医学・生理学賞に北里大特別栄誉教授の大村智氏ら3名の受賞(10/5)、
ノーベル物理学賞に梶田隆章氏の受賞(10/6)が決定
2016年

中期経営計画「ACE-2020 」始動

中期経営計画「ACE-2020

時代
背景

時代背景

2016年
リオオリンピック・パラリンピック開催