特集 NAGASEグループの成長戦略

Prinovaグループのフードビジネス

Prinovaグループが牽引する食品素材ビジネス

高付加価値事業をドライバーに躍進的・持続的な成長を実現

2019年に米国の食品素材販売・加工会社でグローバルな販売網を有するPrinovaグループが加わり、NAGASEの食品素材事業は大きく動き出しました。それから3年、Prinovaグループは高付加価値事業を強みに買収時の想定を超えるスピードで業績を拡大しており、現在ではNAGASEの食品素材ビジネスを牽引する存在になっています。

高付加価値事業を強みに急成長を続けるPrinovaグループ

現在、食品業界は大規模なサプライチェーン問題、品不足、そしてインフレといった逆風に見舞われています。外部環境が激変する中、NAGASEグループはACE 2.0において食品素材事業を注力領域に掲げ、Prinovaグループが持つグローバルサプライチェーンのノウハウを活かし、取引先の需要に応えることで売上と利益を伸ばしてきました。

1978年に米国イリノイ州で創業したPrinovaは、世界最大級のニュートリション(栄養素材)輸入業者として、また食品用ビタミン、アミノ酸、甘味料、カフェイン等の様々な素材を取り扱う世界最大のディストリビューターとして成長を続けてきました。近年では高付加価値事業の拡充を目指し、急速に変化する食品、飲料、ニュートリション、サプリメント業界の需要に対応するために戦略的に事業を展開しています。

M&Aや製造拠点の拡充を通じ食品素材事業の収益基盤を強化

2021年10月、NAGASEグループでは、Prinovaグループの取り扱い品目の拡充及びビジネス領域の拡大を目的に、甘味料専門ディストリビューターのThe Ingredient House(以下、TIH社)を買収しました。TIH社は世界各国の食品メーカーや飲料メーカー向けにキシリトールなどの糖アルコール、スクラロースなどの高甘味度甘味料を中心とした甘味料群を販売しています。

TIH社の子会社化により、Prinovaグループが取り扱うビタミンやアミノ酸などを含む約2,000種の素材がさらに充実し、既存顧客に対する販売や受託製造における提案の幅の拡がりが期待されています。また、TIH社の顧客ネットワークが加わることで、Prinovaグループのグローバルな販売網がさらに強化されます。

2022年度は事業全般の好調継続に加え、買収した2社の通期での利益貢献、キャパシティ増強を受けた販売増加もあり、営業利益86億円等で買収時の計画を3年前倒しで達成する見込み。
米国ユタ州に新設したスポーツニュートリションの受託製造工場

また、米国でのスポーツニュートリション需要の伸長や、より高品質で安全な製品へのニーズの高まりを受け、米国ユタ州にPrinovaグループでスポーツニュートリションの受託製造を行うArmada Nutrition社の工場を新設し、2022年夏以降に順次稼働をしています。新工場では米国におけるスポーツニュートリション業界最大規模の受託製造が可能となり、さらなる収益基盤の強化が期待されます。加えて、Prinovaグループの持つ顧客基盤を活用した㈱林原の食品素材の販売拡大、Prinovaグループの取り扱い製品とアジアを中心としたNAGASEの顧客基盤を組み合わせたシナジーの実現・強化及びグローバル戦略立案に関する議論の深化を図るため、フード イングリディエンツ事業部長を米国に置くなど、経営基盤の強化も着実に進んでいます。

「食」は生命活動の根源であり、「人々が快適に暮らせる安心・安全で温もりある社会」の大前提となるものです。NAGASEグループは今後もPrinovaグループのグローバルなネットワークとポートフォリオを最大限に活用して食品素材事業を持続的に成長させてまいります。

食品素材事業の注目ビジネス

飲料

世界の飲料業界は、特にエネルギー飲料の分野で成長を続けています。消費者の嗜好は、体に優しく健康的な、糖分を控えた飲料にシフトしています。また、食品安全への意識の高まりを受け、成分表示が明確かつ簡潔で、含有物の少ないシンプルな原材料を使用した「クリーンラベル」に適合した飲料への移行が進んでいます。

スポーツニュートリション

スポーツニュートリション市場は米国で年率9%の成長を続けており、欧州をはじめ世界各国でも継続的に拡大しています。Prinovaグループにとって最も成長を遂げているビジネスの分野であり、スポーツニュートリション素材の取り扱いにおいて高い優位性を活かし、お取引先の要望に応えています。

グミ

グミの世界市場規模は2020年に162.8億米ドルとなり、2020年から2028年にかけての年平均成長率は12.6%と予想されています。現在、グミは栄養補助食品市場の20%近くを占めています。Prinovaグループはこの市場においても、お取引先のニーズに応えるため、Armada Nutrition社のユタ州工場でのグミの製造を検討しています。

Interview
“One Global Prinova”でグローバルサプライチェーンの問題解決に取り組む

Donald K. Thorp
長瀬産業 常務執行役員
兼 Prinova Group LLC President

Prinovaグループの強みと成長を支える基盤について教えてください。

私たちPrinovaグループは“Customer First”をミッションとし、“One Global Prinova”をビジョンとして掲げています。サプライチェーンの安全性、原料に関するノウハウ、サービスにおいて世界的に知られており、高付加価値サービスを拡大することで進化・成長を遂げてきました。現在では、原料販売、プレミックス(調整粉)製造、フレーバー製造、粉末製品開発、受託製造など、グループのあらゆるポートフォリオを活用し、お取引先がそれぞれのニーズに合ったビジネスを展開できるよう差別化を図っています。

Prinovaグループの成長の基盤は3つです。まずはサプライチェーンに関する専門知識と安全性です。これは新型コロナウイルス感染症拡大、また現在も続く物流危機に際して、顧客サービスの強化につながりました。次に、コラボレーションを通じて“One Global Prinova”としての強みを活かし、買収した企業の能力を引き出すことです。これにより新たなシナジーを生み出し、顧客価値提案を高めていきます。3つ目は、グローバルな事業展開により、お取引先の規模にかかわらず、ニーズにお応えする強力かつ最適なサプライヤー関係を構築できることです。

NAGASEグループの食品素材事業が直面している課題と対策について教えてください。

ASEANと中東及び世界中に展開する食品素材事業では、お取引先に提供できる原料や素材のバリエーションを充実させること、また、お取引先への販売に必要な社員のスキル開発が課題です。Prinovaグループは中東市場を担当するチームと毎週ミーティングを行い、独自の購買部門の立ち上げや、製品の仕入れ・販売に関するスキル向上のための研修やフォローアップについても検討しています。中東市場も日本市場も非常に競争が激しく、このような市場に参入するためには、時間とトレーニング、そしてエネルギーが必要です。

Prinovaグループのありたい姿とそれを実現するための施策についてお聞かせください。

Prinovaグループが理想とする姿は、食品、飲料、ニュートリション業界におけるディストリビューション、高付加価値ソリューション提供・製造において、現在のみならず将来においても「お取引先に真っ先に思い浮かべていただける企業」になることです。今後も、多くの米国企業が直面しているグローバルサプライチェーンの問題解決に貢献すべく、グループ一丸となって真摯に取り組み、各部門、社員がお取引先のご要望にお応えするソリューションを見つけ出せるよう努めていきます。

統合報告書2022

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  • NAGASEグループの価値創造ストーリー(905KB)

    NAGASEグループの価値創造ストーリー

  • マネジメントメッセージ(1.5MB)

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  • NAGASEグループが選ばれる理由(4.5MB)

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  • 事業ポートフォリオ(2.9MB)

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