NAGASEグループ人権基本方針
基本方針
NAGASEグループは、「誠実に正道を歩む」活動を通じて社会への貢献を目指すという経営理念を掲げています。この理念を将来にわたり体現するために、NAGASEグループが展開する事業活動の中で影響を受けるすべての関係者の人権を尊重する責任を最善の努力をもって果たします。
NAGASEグループ(長瀬産業株式会社(以下、「本社」と称する)、及び本社が50%超の議決権を有する連結子会社、並びに本社が本方針の適用を承認したその他の法人)の全ての役員および従業員は、本方針に基づき、人権尊重の責任を果たすよう努めます。また、サプライチェーン上の取引先、ビジネスパートナー、およびNAGASEグループの事業、製品またはサービスに直接関連する可能性のあるその他の関係者に対しても本方針について開示し、理解と遵守をいただくよう期待します。
なお、本方針は国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を基礎として策定しています。
人権尊重の責任
NAGASEグループは、2021年12月に「国連グローバル・コンパクト」に署名しました。このほか、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」「国際人権章典」および国際労働機関(ILO)の「労働の基本原則および権利に関する宣言」および「子供の権利とビジネス原則」「女性差別撤廃原則」等の人権に関する国際規範、各国のビジネスと人権に関する国別行動計画(NAP)を支持し、尊重します。
もし各国・地域の法令等の間に矛盾がある場合には、国際的な人権原則を尊重するための方法を追求します。
特に、人身売買や強制労働、児童労働の禁止はもちろん、各国地域の歴史・文化・慣習および一人ひとりの人格や個性を尊重し、人種、信条、性別、性的指向・ジェンダーアイデンティティ、年齢、宗教、国籍、言語、身体的特徴、障がい、財産、出身地等を理由とする差別や心身に対するハラスメントの禁止、安全で快適な労働環境の整備、結社の自由と団体交渉権の保護、公正な報酬の提供などの人権尊重の取組みを推進します。
顧客や地域社会の方々など、関係するステークホルダーの皆様との対話と協議を通じて私たちの事業活動が与える影響の可能性について相互理解を深めることで、事業、商品やサービスの改善につなげ社会への貢献と共生を目指します。
人権デューデリジェンス
国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく人権デューデリジェンスの仕組みを構築し、私たちが与えうる社会に対する人権への負の影響を特定し、その防止と軽減に取り組みます。
お問い合わせ窓口
NAGASEグループの役員および従業員が利用できるお問い合わせ窓口やホットラインを設置しております。また、サプライチェーン上の取引先、ビジネスパートナー、ならびにNAGASEグループの事業、製品またはサービスに直接関連する可能性のあるその他の関係者等、あらゆるステークホルダーが人権に関してお問い合わせや通報をすることができるようにHP上でお問い合わせフォームを用意しています。お問い合わせや通報を受けたときは、内容について速やかに必要な調査を行います。
救済と是正
NAGASEグループが引き起こした、または助長したと考えられる人権に対する負の影響の存在が明らかになった場合には、迅速かつ適切な手続きを通じてその救済と是正に取り組みます。
教育
NAGASEグループは、本方針が私たちのすべての事業活動に適切に組み込まれ実行されるよう、すべての役員と従業員に対して必要な教育を通じた啓発を行います。
情報開示
NAGASEグループは、本方針に基づく人権尊重の取り組みについて継続的にモニタリングし、その進捗状況と結果をウェブサイト等を通じて開示します。
人権ガバナンス
本社において本方針の実行は管理部門担当取締役が責任を持ち、その実施状況を指揮監督します。また、人権尊重に向けた日々の取り組みは、人権対応部門が中心となり、NAGASEグループ各社の所管部門等と連携して進めます。
体制
NAGASEグループでは、代表取締役社長直轄の業務執行機関としてリスク・コンプライアンス委員会を設置しており、「人権の尊重」に関する取り組みの推進はリスク・コンプライアンス委員会(委員長:担当取締役)が担当しています。リスク・コンプライアンス委員会は、業務執行に関して社長への報告を行うとともに、監督機関である取締役会へ意見・報告し、監査役会へも定期的に報告を行っています。
リスク・コンプライアンス委員会では、法令遵守のみならず企業倫理にまで踏み込んだ「リスク・コンプライアンス行動規範」を定め、それに基づくリスクマネジメント体制・コンプライアンス体制の確立、浸透、定着を図っています。2024年4月1日付でNAGASEグループの「リスク・コンプライアンス行動規範」について人権の尊重に関する項目内容を変更し、改定を行いました。(対象範囲を「NAGASEグループの役員・社員のみ」から「NAGASEグループの事業活動に関わる人々の人権」まで拡大しています。)
「人権の尊重」に関する業務執行については、リスク・コンプライアンス委員会の事務局であるリスクマネジメント部とサステナビリティ推進部が人事部門などと協力しながら進めています。
人権デュー・ディリジェンス
NAGASEグループでは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」を支持し、指導原則に沿った人権デュー・ディリジェンスを実施しています。
国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に沿った人権デュー・ディリジェンス

【1】従業員を対象とした人権デュー・ディリジェンス
2023年度に実施したコンプライアンスに関するアンケート(821名が回答)の結果を受け、2024年度はアンケートの詳細な分析を進めました。アンケート全回答者のうち13.7%がコンプライアンス違反を見聞きしたと回答し、その中には人権課題であるハラスメントに関するものも含まれています。ハラスメントは社員のモチベーションを下げ、労働意欲を阻害するとともに、報連相を妨げる風通しの悪い企業風土を生む原因となる重大な人権課題の一つと認識しています。また、アンケートの自由記述欄では多くの社員から人権やハラスメントに関する内容を含むコンプライアンスに関する意見が集まっています。「コンプライアンスに関するアンケート」に寄せられた意見については、事実調査の結果、事実と判明した事案の再発防止策を行うと同時に、人権デュー・ディリジェンスの設計、人権に関する研修や社内浸透施策に活かしています。
NAGASEグループでは、各社が従業員を対象にしたエンゲージメントサーベイを実施しています。設問には、組織風土・人的資源・施設環境・制度待遇など従業員の人権に関する質問を含めており、NAGASEグループ人権基本方針で定めている人権の尊重の遵守状況を確認しています。
【2】事業活動およびサプライチェーンにおける人権デュー・ディリジェンス
長瀬産業は、複数の事業部があり、複数の国と地域でビジネスを行っています。人権デュー・ディリジェンスの実施にあたっては、人権に関する外部データを活用し、人権リスクの高い「製品」と「国・地域」を洗い出し、各事業部の営業担当へのヒアリングやデスクトップ調査を行い、事業部別にリスクの特定を進めています。2025年度は、複数の事業部を対象に、「リスクが重大な事業領域の特定」「負の影響の発生過程の特定」「負の影響と企業の関わりの評価及び特定」を進めていく予定です。
NAGASEグループにおける人権デュー・ディリジェンス
ナガセヴィータ(株)
NAGASEグループのナガセヴィータ(株)では「ビジネスと人権に関する国連指導原則」に則り、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、当社の事業活動が与えうる人権への負の影響を特定し、その防止と軽減に取り組んでいます。ナガセヴィータの人権に関する重点課題として、「消費者の安全と知る権利」「差別とハラスメント」「児童労働・強制労働等」「労働基本権の尊重」「労働時間管理と安全衛生の推進・支援」課題の特定と対応方針を開示しています。また同社では、2023年度に原料であるタピオカの製造メーカー(拠点:タイ)を対象とした実施監査(マネジメントシステム・透明性と事業戦略・労働・安全衛生・環境)を実施しました。
Prinova
NAGASEグループのPrinovaは、ETI(The Ethical Trading Initiative)基本規範の9原則に則り、事業活動のあらゆる領域においてコンプライアンスを支持・推進・評価しています。Prinovaは、Sedex(Supplier Ethical Data Exchange)のABメンバー(主に、製造業者、サービスプロバイダー向け)であり、Sedex監査プロトコルを使用して、事業部門とサプライヤーの持続可能性慣行を監視および改善しています。また、Prinovaでは、2年ごとにSMETA(Sedex Members Ethical Trade Audit)監査を実施し、監査はサプライヤーの50%以上で完了しています。Prinovaは、Sedexの4つの柱(労働、安全衛生、環境、企業倫理)すべてにおいてサプライチェーンの透明性を推進し、特に製造施設における人権と安全衛生の実践に重点を置いた事業活動を行っています。
研修・社内浸透施策
NAGASEグループでは、人権の尊重を推進するために、全従業員を対象とした研修や社内浸透施策、階層別研修、実務専門研修を実施しています。
E-ラーニング「NAGASEグループ ステップ・アップ⤴コンプライアンス」
長瀬産業では、人権に関する従業員向け啓発活動として、E-ラーニング「NAGASEグループ ステップ・アップ⤴コンプライアンス」を実施しています。2024年度は全12回のうち、6回を人権に関するテーマとし、従業員の理解浸透を図っています。
テーマ:パワハラの定義/行き過ぎた指導/一度の指導をきっかけに…/企業のバリューチェーンと人権/企業における人権尊重とD&I促進①/企業における人権尊重とD&I促進②
「コンプライアンス通信」
コンプライアンスに関する社内や社会で大きな問題になったことや、社員からの声を反映した「コンプライアンス通信」を毎月発行しています。人権に関するテーマも取り扱い、2024年度はパワーハラスメントをテーマとした「パワハラかパワハラでないかを考えてみよう」(11月)を発行しています。
階層別ハラスメント・コンプライアンス研修
長瀬産業では、2022年度以後、役員向け、部統括向けの人権・コンプライアンス研修を行っています。2024年度は対面型で全課統括を対象に実施し、出席率97.5%でした。2025年度は、全社員向けに対面型で人権・コンプライアンス研修を開始しています。
内部通報従事者研修
NAGASEグループでは、内部通報の担当者への対面研修・ロールプレイ研修を実施しています。2024年度は、44名の受講者(国内グループ会社20社)に対して、「相談・通報者の心理的傾向」「コンプライアンス違反を特定する能力と判断能力を高める演習」「通報・相談のロールプレイングによる面談技法の習得」など内部通報窓口業務を行う社員のレベルアップを実施しました。
2024年度おもな人権に関する受講率・受講人数
研修名 | 対象 | 受講率 |
---|---|---|
E-ラーニング NAGASEグループ ステップ・アップ⤴コンプライアンス |
全従業員 (長瀬産業) |
87.7% 2024年5月~2025年2月の全10回平均 |
階層別ハラスメント・コンプライアンス研修 | 課統括 |
97.5%(対面研修の出席率) 受講人数:114人 |
相談窓口
NAGASEグル―プでは、⼈権に関する通報窓⼝、ハラスメントに関する通報窓⼝として「コンプライアンス相談・通報窓口」を設置しています。この「コンプライアンス相談・通報窓口」は、グループ会社を含む役員もしくは従業員等が、秘密厳守のもと、匿名でも社内、社外の窓口に相談・通報できる仕組みです。
対象 | 名称 | 範囲 | 窓口 |
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社内 | コンプライアンス相談・通報窓口 |
・NAGASE グループの役員、社員 (契約社員、パートタイマー、アルバイトを含む。社員には、退職後1年以内の者も含む) ・派遣契約に基づき勤務する派遣労働者 (派遣先での派遣契約終了後1年以内の者も含む。) ・その他これに準ずる方 |
【社内】 リスク・コンプライアンス委員会 事務局 |
【社外】 外部弁護士事務所 |
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社外 | お問い合わせ | ・取引先や地域住民などすべてのステークホルダー | ウェブサイト |
女性によるコンプライアンス相談・通報窓口の設置
NAGASEグループ「コンプライアンス相談・通報窓口」は、ハラスメントなど社内の人権に関する問題を発見した場合に、専門窓口に直接相談・通報できる制度です。「女性によるコンプライアンス相談・通報窓口」は、相談・通報の窓口に寄せられた、最初の相談・通報を女性のみがお伺いし、通報に対する心理的なハードルを下げ、女性が働きやすい職場をつくることをコンセプトに設置しています。
海外現地法人におけるコンプライアンス相談・通報窓口
海外現地法人において、現地の言語に対応できる弁護士事務所等と契約を行い、母国語により電話・メールで相談・通報できる窓口を設置し、運用しています。