調達基本方針

調達基本方針

責任あるサプライチェーンの構築・維持は、お取引先のご協力も頂いております。NAGASEグループは、バリューチェーン全体で取り組むべき社会課題のソリューションを提供できる企業集団でありたいと考えています。つきましては、サプライヤーの皆様には、以下の基本方針の実践をお願いしております。<説明会、文書の案内など>万一、違反活動が認められる場合は、期限を定めた改善対応を求め、改善傾向が求められない場合はお取引の見直しなどにより対応いたします。ご理解、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

1. 法令順守と品質保証

  • 事業活動を行う各国・地域のあらゆる適用法令、規則の遵守
  • 安全で品質の高い製品、およびサービスの提供

2. 従業員の人権保護

  • あらゆる差別的取扱いを禁止し、強制労働・児童労働などの人権侵害の撤廃
  • 結社の自由や団体交渉権を支持し、良好な労使関係の構築
  • 安全な労働環境の提供や、過度な労働時間の排除などによる安全と健康の確保

3. 地球環境への配慮

  • GHG排出の抑制やエネルギー消費の低減などの推進による気候変動対応
  • 廃棄物の削減や資源の再利用などの推進による地球環境の保全と汚染予防
  • 水の利用効率の改善などの推進による水資源の保全
  • 生物多様性の重要性の認識、および自然生態系の維持

調達基本方針の見直しについて

NAGASEグループでは、現在、調達方針の見直しを行っています。現在の調達基本方針における責任部門、適用範囲は以下の通りです。

領域 責任部門 摘要範囲
法令順守と品質保証 リスクマネジメント部 自社、取引先含むサプライチェーン全般
従業員の人権保護
地球環境への配慮 経営企画本部

サプライチェーン重要評価指標としてEcovadisを活用

サプライチェーンにおける企業の社会的責任について、社会の関心は年々高まっています。NAGASEグループ各社では、環境、労働と人権、倫理、持続可能な資材調達の4領域について、Ecovadisからの評価を毎年受けることで、
自社に加えて、調達取引先とともに社会課題に配慮した事業を推進し、ビジネスリスクの低減と持続可能な調達活動の実現を目指しています。

定量目標

目標 実績
各社が取得しているEcoVadis評価の維持・向上 長瀬産業(グループ):シルバー
(株)林原(現 ナガセヴィータ(株)) :プラチナ
NAGASE Specialty Materials NA LLC:ゴールド
PRINOVA EUROPE LTD (GROUP):シルバー
Nagase(Europa) GmbH:シルバー

調達基本方針の伝達とパートナーシップ強化

調達基本方針の伝達は、契約時や説明会を通じて行い、お取引先との良好なパートナーシップ構築に努めています。万一、違反活動が認められる場合は、期限を定めた改善対応を求め、改善傾向が求められない場合はお取引の見直しなどにより対応いたします。ご理解、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

世界のサプライヤーへの伝達

サプライヤーに対し、調達基本方針への理解と協力を要請するために、サステナビリティサイトで日本語のみならず、英語・中国語・フランス語・ドイツ語・スペイン語・ポルトガル語の翻訳を公開しています。

最低賃金・生活賃金の支給に関するサプライヤー方針

お取引各社においても、各国の労働法制に則り、海外拠点においても最低賃金や総労働時間の厳守に加え、 最低賃金を超え、生活賃金を満たすよう要請します。

新規取引先の選定方法

NAGASEグループでは、新規取引時に「NAGASEグループ調達方針」を確認頂き、サプライヤーの皆様には、以下の基本方針の実践をお願いしております。

「NAGASEグループ調達方針」にて定めている内容
法令順守と品質保証/ 従業員の人権保護/地球環境への配慮

目標と進捗

開示項目 目標項目 バウンダリー 2022年度目標 2022年度実績
サプライチェーン バリューチェーンと環境 グループ 【定性】
NAGASEグループ調達方針(3. 地球環境への配慮)に沿って、お取引先に対して環境問題については、バリューチェーン全体で取り組むべき社会課題であることを理解頂き、ともに責任あるサプライチェーンの構築・維持を目指す。
達成

取引先監査について

継続的な取引のある調達お取引先に対しては、適宜製造現場の管理状況を確認し、必要に応じて改善を要請・支援しています。新規調達お取引に対しては、製造現場や管理の仕組み、環境、人権、労働、安全に関する法令遵守状況、経営状況などがNAGASEグループの調達基本方針に則しているかを確認しています。
グループ会社のナガセヴィータ(株)では、2023年度に原料であるタピオカの製造メーカー(拠点:タイ)を対象とした実施監査(マネジメントシステム・透明性と事業戦略・労働・安全衛生・環境)を実施しました。

安全保障貿易管理

貿易はNAGASEグループの活動の基盤です。国際社会の一員として法令を遵守した適正な貿易を行うため、安全保障貿易管理委員会が゙輸出管理情勢および外為法等の改正動向、グループ全体の輸出管理に関する内容を把握して全体の方針を決定しています。さらに、商品法令管理責任者会議において、 安全保障貿易管理委員会の決定事項や関係法令の改正内容を各事業部・グループ会社に指導、周知徹底するための協議を行い、法令違反を未然に防止しています。

具体的な管理の仕組み

当社独自の商品総合管理システムにより、輸出する全ての商品・技術、海外顧客情報などをデータ化して管理しています。さらに、外為法およびEAR(米国輸出管理規則)などの輸出許可の必要性を確認し、商品法令管理課が承認した商品のみが輸出できるようシステム化しています。また、法令遵守から一歩進んで、軍事用途や軍関連の取引を原則禁止するなど、安全保障貿易管理に関するNAGASEグループ全体の方針を定めています。

人財育成の取り組み

年々変化する安全保障貿易管理に対応するため、輸出業務に携わる従業員を中心に、安全保障貿易情報センター(CISTEC)が実施する安全保障輸出管理実務能力認定試験の受験を推奨しています。

安全保障輸出管理実務能力認定試験合格者数(累積)
2018年3月期 890名
2019年3月期 947名
2020年3月期 982名
2021年3月期 1,033名
2022年3月期 1,089名
2023年3月期 1,125名

RSPOへの加盟(正会員)

長瀬産業は、2017年8月に環境影響に配慮した持続可能なパーム油の調達を目的とするRSPO「持続可能なパーム油のための円卓会議」に加盟し、会合や説明会に参加するなどサプライチェーン全体での推進に取り組んでいます。2025年度中に100パーセント持続可能なパーム油を調達するよう目標を設定しています。

Sedexへの加盟

長瀬産業は、倫理的なサプライチェーンの構築を促すSedexへ2019年に加盟しています。

サプライチェーンへの働きかけ

「zeroboard」によるサプライチェーン上のCO2(二酸化炭素)排出量算出・可視化

「zeroboard」は、自社のCO2排出量算出の効率化だけでなく、サプライチェーン上のCO2可視化を目的として開発されたSaaS型クラウドサービスです。長瀬産業がネットワークを有する国内外の化学品業界を中心に「zeroboard」の普及を通じて、脱炭素化社会の実現に貢献してまいります。

「zeroboard」の詳細は下の「取り組み事例」をご確認ください。

サプライチェーンに関するイニシアチブへの参加

NAGASEグループは、一般社団法人 日本貿易会に加盟しております。日本貿易会が定めた会員各社のためのCSR行動ガイドライン「サプライチェーンCSR行動指針」を支持し、あらゆる取引先と共に CSR活動を推進していきます。

【その他参加しているサプライチェーンに関するイニシアチブ】

一般社団法人近畿化学協会 / 一般社団法人日本化学品輸出入協会 / 一般社団法人日本化学工業協会(JCIA) / 一般財団法人安全保障貿易情報センター(CISTEC) / 日本プラスチック工業連盟 / 一般社団法人日本半導体製造装置協会 / PETトレイ協議会 / 一般社団法人日本流行色協会/日本バイオプラスチック協会 / 一般社団法人日本自動車部品工業会 など

アニマルウェルフェアに関するサプライヤー方針

アニマルウェルフェアに関して、サプライヤー各社様には以下のご対応を依頼します。

動物を試験研究又は生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供する場合には、科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用すること、できる限りその利用に供される動物の数を少なくすること等により動物を適切に利用することに配慮します。また、動物を科学上の利用に供する場合には、その利用に必要な限度において、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によって行います。

紛争鉱物への対応

紛争の存在する地域で産出される鉱物の一部は、非人道的行為をする武装勢力の資金源となって紛争を助長し、人権侵害を引き起こすなどの可能性があると言われています。
NAGASEグループでは、責任あるサプライチェーンの構築・維持の立場から「紛争鉱物」の取引を行う場合には適切な調査を行います。

【紛争鉱物(Conflict Mineral)】

紛争地域およびその周辺国・地域で採掘された鉱物のうち、武装勢力の資金源となっているものを指す。ドッド・フランク法 第1502条で対象となるのは、コンゴ民主共和国およびその周辺国で産出されるタングステン・タンタル・金・錫などを含有する鉱物。

取り組み事例

化学品共同輸送マッチングサービスの実証実験を開始

NAGASEグループでは、化学品物流における輸送の効率化や物流コストの削減、自然環境対策について重要な課題であると捉えています。長瀬産業は2022年5月に業界初となる、化学品に特化した共同輸送マッチングサービスの実証実験を開始しました。実証実験には化学品や塗料、インキなどを取り扱う取引先や、物流会社のセンコーナガセ物流など11社が参加し、日本パレットレンタル(JPR)のAI共同輸送マッチングサービス「TranOpt」を活用しています。この取り組みによりトラック輸送の実車率と積載率の向上および、トラックドライバーの省人化や輸送コストおよび温室効果ガス排出量の削減を図り、2023年度内をめどに共同輸送基盤の構築を目指しています(「TranOpt」導入事例ではCO2排出量約6割の削減を実現)。これからもサプライチェーン上の課題を解決し、サステナブルな化学品共同輸配送の実現に貢献してまいります。

化学品共同輸送マッチングサービス

スマートセルを用いた、希少アミノ酸などの生産プロセスの実用化に向けた共同開発を開始

NAGASEグループでは、従来では大量生産が難しかった複雑な構造を持つ有用物質を高効率で生産することは、原料消費や廃棄物、エネルギー消費の抑制の観点から環境にやさしい開発手法であると捉えています。長瀬産業は、(株)日立製作所、(株)日立プラントサービスとともに、バイオテクノロジーとデジタル技術を組み合わせて、物質生産能力を最大限引き出した微生物(スマートセル)を用いた、希少アミノ酸「エルゴチオネイン(EGT)」をはじめとした有用物質の精密発酵プロセス確立に向けた共同開発を2022年年4月から開始しています。具体的には、長瀬産業、日立、日立プラントサービスの3社が長年にわたり培ってきた経験・ノウハウを活用・融合し、スマートセルを用いたEGTをはじめとした有用物質の生産プロセスの実用化に向け、以下の共同開発の取り組みを開始します。具体的な共同開発内容は以下を予定しています。
(1)培養シミュレーション技術などを用いて、スマートセルの培養工程のスケールアップ条件を予測
(2)ラボ実験や生産プロセス検討で取得したデータを解析し、生産性を最大化するプロセス条件およびスケールアップ条件を探索
(3)生産プロセスのエンジニアリングや最適化方法の確立
今回の共同開発で得た成果を通じて、スマートセルによるEGTの生産プロセスの量産化に向けた課題解決に取り組むとともに、今後さまざまな有用物質へ応用展開することで、環境負荷軽減と生産の効率化を両立し、持続可能で健康・便利な社会の実現をめざしていきます。

スマートセル

「Zeroboard」を活用したサプライチェーン上のCO2排出量算出・可視化

NAGASEグループでは、気候変動問題におけるサプライチェーン上のCO2排出量算出・可視化について重要な課題であると捉えています。長瀬産業では、企業の脱炭素経営の支援を目的として、(株)ゼロボードが開発したCO2(二酸化炭素)排出量算出・可視化クラウドサービス「Zeroboard」の販売・事業展開に伴う業務提携について合意し、化学品業界を中心に本サービスの販売、顧客ニーズの収集、CO2排出量削減のソリューションの開発・提供等を行っています。 世界各国がCO2排出量を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を掲げるなか、「Zeroboard」は、自社のCO2排出量算出の効率化だけでなく、サプライチェーン上のCO2可視化を目的として開発され、2022年度以降、両社共同で、データベースを活用し、CO2排出量削減のソリューション提供を目的とした企業間マッチングプラットフォームなどの事業展開や、外部環境の変化をとらえた効率のよい環境データ算出方法等の提案に取り組んでいます。 本提携により、ゼロボードと長瀬産業は、企業の脱炭素経営のサポートを通じて脱炭素化社会の実現に貢献してまいります。

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新材料探索プラットフォームTABRASA™

NAGASEグループでは、サプライチェーン上の新素材開発に関する課題解決について重要な課題であると捉えています。長瀬産業は、米国IBM社(以下、IBM)と共同開発した新材料探索プラットフォーム「TABRASA™(タブラサ)」をサービス提供しています。IBMの技術を、長瀬産業がマテリアルズ・インフォマティクス用SaaS サービス(Software as a Service:クラウド上で提供するソフトウェア)として製品化したもので、高機能素材やバイオケミカルを始めとしたNAGASEグループの幅広い顧客・サプライヤー向けに展開し、R&DプロセスのDX(デジタル・トランスフォメーション)化による課題解決、イノベーションの推進をサポートします。TABRASA™は、「アナリティクス・アプローチ」に加え、「コグニティブ・アプローチ」の2つの異なるエンジンで素材探索を実現し、高度な知識・技術を有する専門人材がいなくても利用しやすいユーザビリティを整備しています。今後もTABRASA™をサプライチェーン上の新素材開発に関する課題解決プラットフォームとして推進を図り、ビジネスパートナーがまだ気づいていない課題を見つけ、解決につながる価値を提供する新しいビジネスモデルを通じて、「人々が安心・安全で快適に暮らせる温もりある社会の実現」を目指します。

TABRASA

サプライチェーンの環境負荷に関する取り組み
リサイクルの運営管理とリサイクル材の開発

NAGASEグループでは、サプライチェーン上でのリサイクルの運営管理・リサイクル材の開発について重要な課題であると捉えています。「ナガセアプリケーションワークショップ」を有する長瀬産業では、サプライチェーン上でのリサイクルの運営管理・リサイクル材の開発を通して環境負荷低減に貢献しています。
サイゼリヤが展開するイタリアンレストラン「サイゼリヤ」の全店舗で導入されているトライタン製ワイングラス(石川樹脂工業(株)製)のリサイクルにおいて、石川樹脂へのリサイクル材提供・製品開発をサポートしています。

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