気候変動に対する基本的な考え方

気候変動の影響は、環境・社会および人々の生活・企業活動に深刻な影響を及ぼすようになっています。

世界全体で温室効果ガスの排出削減を進めていくパリ協定が2015年に締結され、民間セクターが果たすべき役割への期待が高まっています。

NAGASEグループは、気候変動の及ぼす中長期的な機会と脅威、およびその財務上の影響を分析し、低炭素社会や循環型社会に求められる事業戦略を立案します。また、自社とバリューチェーン全体の事業活動で排出されるGHGを把握し、削減プロセスについて中長期的な目標と活動計画の設定をします。

また、NAGASEグループでは金融安定理事会(「FSB」)により設置された「気候関連財務情報開示タスクフォース(The Task Force on Climate-related Financial Disclosures「TCFD」)」の提言に、2022年1月25日に賛同いたしました。また、気候変動に関する情報はTCFDに合わせて「ガバナンス(Governance)」「戦略(Strategy)」「リスク管理(Risk Management)」「指標と目標(Metrics and Targets)」を積極的に開示しています。

気候変動問題に取り組む団体への加入

気候変動イニシアチブ(JCI)

NAGASEグループは、宣言「脱炭素化を目指す世界の最前線に日本から参加する」を掲げる気候変動イニシアチブ(JCI)に加盟しています。

気候変動イニシアチブ(JCI)

日本貿易会・地球環境委員会

当社の代表取締役社長執行役員は日本貿易会の常任理事を務めています。当社は、地球環境委員会のメンバーとして、委員会活動に参加し、気候変動問題などの活動推進に参画しています。

ゼロエミ・チャレンジ

長瀬産業は、2050カーボンニュートラルの実現に向けた経済産業省「ゼロエミ・チャレンジ」に「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」プロジェクトで参画しています。

ゼロエミ・チャレンジ

ガバナンス

気候関連のリスクおよび機会についての取締役会による監視体制

NAGASEグループでは、気候変動を重要な経営課題の一つとして認識しており、取締役会の監督のもと、サステナビリティ推進委員会、リスク・コンプライアンス委員会を設置し、方針や課題などを検討・協議しています。2021年度に「NAGASEカーボンニュートラル宣言及びTCFD賛同表明」が取締役会にて決議され、本宣言に基づく行動方針は中期経営計画であるACE 2.0の非財務目標として設定がされ、単年実績の開示につながります。このように、気候変動は取締役会による定期的、直接的な監督を受ける体制となっております。

リスク・コンプライアンス委員会、サステナビリティ推進委員会

気候変動を含む環境に関わるリスクおよび事業機会と取り組み方針は、リスク・コンプライアンス委員会、サステナビリティ推進委員会にて審議しています。気候変動に伴う物理的なリスクとなる災害や、気候リスクとなる規制の変更、新規の規制の発出、市場の変化や評判に関するリスクへの対応など審議内容は、業務執行組織であるサステナビリティ推進室を通じて事業活動に反映されています。

2022年度、中期経営計画(2021年~25年)の中で、カーボンニュートラル宣言を実現するための気候変動に関するKPIを設定しています。

会議体 審議内容
リスク・コンプライアンス委員会(委員長:担当取締役兼執行役員) 気候変動によって生じ得る洪水や大型台風等による自然災害に伴う被害に関するリスク等
サステナビリティ推進委員会(委員長:代表取締役社長) 気候変動を含むサステナビリティ課題に対するリスクと機会の事業戦略への組み込み等(気候関連KPIの設定検討)

政策決定権者へのエンゲージメント

NAGASEグループでは、下の通り政策策定者へのエンゲージメントを行っています。

法律の焦点 企業の立場 協働の具体的内容 提案した立法による解決策
義務的な炭素報告 支援 NAGASEグループから排出されるスコープ1及びスコープ2の99%以上は日本国内から排出されるものです。そのためNAGASEグループでは日本の規制に対して協働しています。日本の事業者を対象とした「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」に基づき、温室効果ガス排出量やエネルギー使用量の削減及びその排出量・使用量を報告しており、これらの法律や政策担当者を支持し、削減活動の実施や適切な報告を行っています。 例外なき支持(温室効果ガス排出量削減・エネルギー使用量の削減に関する法規制)

また、日本政府が表明している2030年に向けて2013年度比で温室効果ガスを46%削減する声明を支持し、当社目標を設定して長期的な視点で温室効果ガスについて管理しています。

戦略

リスクと機会

2021年度は、NAGASEグループの気候変動・戦略のなかで「リスクと機会の重要度評価」を行いました。気候変動に関するさまざまなリスク・機会があるなかで、NAGASEグループにとって重要なリスク・機会を以下のとおり特定しました。

気候関連のリスクおよび機会についての特定プロセス

サステナビリティ推進委員会内のプロジェクトとして、21年7月にカーボンニュートラルプロジェクトが設置されました。プロジェクトでは、21年度内のTCFDへの賛同と気候変動に関する長期目標の設定と開示に向けて議論を開始しました。議論から生まれたリスクと機会の分析は、21年11月に気候変動説明会として社員へ報告するともに、12月に事業部の代表者による気候変動ワークショップを開催しました。ワークショップでは、気候変動に関する機会を中心にグループ横断で取り組むべき課題についての共有、議論を行いました。

気候変動ワークショップ

気候変動ワークショップ

リスク

移行リスク

分類 主な内容 影響度
政策や法規制 ・カーボンプライシングや排出量取引などの規制
(特に、GHG排出量の多い素材メーカーによる価格転嫁影響を考慮)

・関連する法規制への対策コスト
(地球温暖化対策推進法、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律、石化製品への規制強化等)
市場と技術 ・石化製品への顧客の選好性が低下し、市場需要が減少、売上が減少

・「大量生産、大量消費、大量廃棄」時代が終焉し、環境対応製品へのトランジション(移行)対応遅延
評判 ・取り組みと情報開示不足によるステークホルダーからの信頼、対外評価下落

物理的リスク

分類 主な内容 影響度
急性的 ・大規模自然災害によるサプライチェーン寸断と販売・生産活動の停滞

・洪水や干ばつによる水の供給停止

・高温化または寒冷化による温調エネルギーの増大
慢性的 ・海面上昇により沿岸部の活動拠点周辺への深刻な影響(水没、津波対応)

・一次産品の調達における、相場価格上昇

・従業員の生命の安全を確保するための追加的措置や労働生産性の低下

機会

分類 主な内容 影響度
製品とサービス ・エネルギー効率向上に貢献する代替素材の提供(軽量化、断熱・放熱など)

・資源循環型素材(低炭素、バイオや生分解性、リサイクル)の開発

・LCA開示など(製品ごとの排出量可視化)、高環境価値製品の提供

・電力、ガスなどエネルギー削減ソリューションの提供

・サプライチェーンにおける排出量の可視化、削減ソリューションの提供

・植物性タンパク質、昆虫食など地球環境負荷低減に寄与する新たな食品の製造技術、素材の提供
市場 ・原材料の排出量削減を要求する素材市場(B to B 全般)

・最終製品の排出量削減を要求する製品市場(モビリティ、OAなど)

・気温上昇により需要が見込まれる消費者市場
(スキンケア、日用品、家電など)

・新しい価値観をもった消費者の行動変容により生まれる新興市場
(代替肉、サーキュラー、排出量開示商品)

戦略:「商社業/製造業」と「可視化/削減」の2軸4象限で目標達成に向けた取り組みを推進

NAGASEグループは商社機能に加え、製造・加工機能を有することから、「商社業/製造業」と「可視化/削減」の2軸4象限に分類し、全体施策および施策①~④からなる「NAGASEグループカーボンニュートラル宣言」のもと、目標達成に向けて取り組んでまいります。

グループ全体

リスク管理

リスク・コンプライアンス委員会のもとで環境ISO運営組織を展開して、環境マネジメントシステムISO14001の継続的な活動を行っています。 具体的には、環境マネジメントシステムでの文書・書式にて、環境影響評価、関連法令調査、内部・外部の課題、利害関係者からのニーズ及び期待等を確認し、「環境側面調査表」にリスクや機会を記入し、内部監査及び外部審査を受ける体制となっています。一方、環境マネジメントシステムISO14001では、環境マネジメントマニュアル、業務要領に沿って決定しています。 新たに発見されたリスクについては、環境マネジメントシステム文書・書式において、環境影響分析を実施し、その評価方法を基に優先順位を決定する体制となっています。

指標と目標

2050年までにGHG排出量を実質ゼロとするカーボンニュートラルの達成を掲げます(Scope1,2)。また、2030年までに、Scope1,2を46%削減(2013年比)、Scope3を12.3%以上削減(2020年比)します。

なお、Scope3は今後のサプライチェーンとの対話により目標値の更新も検討します。

詳細は、「NAGASEグループカーボンニュートラル宣言(pdf:421 KB)」をご確認ください。

NAGASEグループ温室効果ガス排出量実績と目標(Scope1,2)

カーボンニュートラル

2022年度実績

カーボンニュートラルプロジェクト 2022年度の主な取り組み

2022年度の主な取組み

2022年度長瀬産業では、「株式会社ゼロボードへ出資」「印刷業界のサプライチェーン上のGHG排出量の可視化支援」「森林クレジット創出の実証」を行いました。その結果、GHG排出量可視化サービスを展開するゼロボードとの協業を深め国内に留まらず、東南アジアにおいても排出量可視化支援の展開を進めました。他、一層、重要性が増すと考えられるクレジット創出に関する実証を行う等、カーボンニュートラルに向けた知見・ノウハウの蓄積が進んだと認識しています。

KPI 2022年度実績 ※認証機関による保証前の暫定値
カーボンニュートラル 【連結】Scope1,2削減率:37%以上(2013年度比)
再生可能エネルギー発電・購入による削減量:35,000t 以上(累計)
【連結】Scope1,2削減率:34%
【単体(長瀬産業)】Scope 2 ゼロエミッション 【連結】再生可能エネルギー発電・購入による削減量:524t(累計)
【単体】Scope 2:1,987t

なお、NAGASEグループは日本貿易会に加盟しています。NAGASEグループの気候変動に関する考え方は、日本貿易会と一致しており、日本貿易会が定めた目標はグループ内の環境ISO事務局内で進捗を共有しています。

エネルギー消費と温室効果ガス排出の取り組み

取り組み 詳細
再生エネルギーの購入と生成

再生エネルギー購入生成量と2030年までのコストシュミレーション

NAGASEグループでは2022年度、再生可能エネルギー消費増大(購入・生成)により、404t-CO2の排出量を削減しました。 また、GHG排出量の多い製造業連携委員会参加企業で2030年までのScope2削減シミュレーションを行い、約10~20億円(2030年までの累計)のコスト試算を行っています。

NAGASEグループ Scope 2削減イメージ

試算の前提条件

グラフはイメージです。2025年度までの排出量はACE2.0計画、2026年度以降はACE2.0期間の売上、生産量の伸長率を適用しています。また、電力のCO2排出係数は最新のマーケット基準値(2021年度)を適用しています。製造拠点では優先的にScope2 から削減をすすめ、Scope1 については生産量が伸長しても削減ができるような目標を設定しています。
カーボン・クレジット購入

カーボン・クレジット購入

NAGASEグループでは2022年度、森林管理によるカーボン・クレジットを485t-CO2購入しています。このクレジットは、検証済みクレジットとなります。(移転元法人名 梼原町 移転先法人名 長瀬産業株式会社)
エネルギー効率改善

化学品・医薬品製造におけるフロー合成技術

NAGASEグループでは、マイクロフロー合成法による未来の化学品・医薬品の製造方法を提案しています。フロー合成とは、従来の化学合成で用いる容器を使用せず、微細な流路に原料を流し込むことで化学反応を行う新しい化学合成技術です。化学物質の生産方法として一般的なバッチ式と比較し、エネルギー生産性が高く、かつ、廃棄物の排出も少なく抑えることができるため、近年注目されています。

ナガセケムテックス(株)のエネルギー改善策

NAGASEグループのナガセケムテックスで2022年12月にボイラーの更新を行い、燃料(LNG)起因によるCO2排出原単位を約4%改善しました。
廃熱回収システムやコジェネレーションシステムの活用

林原(株)の廃熱再利用などの取り組み

NAGASEグループの林原(株)では、各生産工場の省エネ(廃熱再利用、不良蒸気トラップの更新管理、貯槽殺菌条件見直し等)を推進しています。
二酸化炭素回収・貯留(CSS)技術を活用

CCUS技術確立に向けた資本業務提携契約を締結

長瀬産業は、京都大学発のスタートアップ企業である株式会社 Atomisは、資本業務提携契約を締結しています。Atomis と長瀬産業は将来的に分離回収だけではなく、分離回収した CO2をオンサイトにて有用化学品に変換して利活用する CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)技術として確立させ、CO2 排出削減のソリューションとして顧客に提供することで、脱炭素化社会の実現に貢献することを目指しています。

サステナビリティ・リンク・ボンドの発行

当社は、企業活動を通じて社会・環境問題の解決に貢献することを目指して、2022年6月に当社初となるサステナビリティ・リンク・ボンド(※1)を発行いたしました。

サステナビリティ・リンク・ボンドの概要

発行年限 10年
発行額 100億円
発行時期 2022年6月
KPI KPI 1:当社グループの温室効果ガス排出量(Scope1,2)
KPI 2:当社グループの温室効果ガス排出量(Scope3)
SPTs(※2) SPT 1:2030年度に当社グループの温室効果ガス排出量を46%削減
   (2013年度比)(Scope1,2)
SPT 2:2030年度に当社グループの温室効果ガス排出量を12.3%以上削減
   (2020年度比)(Scope3)
債券の特性 SPTsはSPT1とSPT2を設定する。判定日時点でいずれかのSPT未達成が確認された場合、気候変動に対する取り組みを加速させるべく、本社債の償還までにSPTsの達成状況に応じた額の排出権(CO2削減価値をクレジット・証書化したもの)を購入する。排出権を購入した場合、統合報告書またはウェブサイトにて排出権の名称、移転日、購入額を開示する予定。 現時点の候補としては、J-クレジット、グリーン電力証書、非化石証書を想定しているが、SPTs未達成の要因を精査の上、機関決定する。SPT1が未達成の場合は、社債発行額の0.10%相当額を、SPT2が未達成の場合は、社債発行額の0.05%相当額を購入する(両SPTsとも未達成の場合は合計0.15%相当額の購入となる)。

ただし、排出権購入契約における不可抗力事項等(取引制度の規則等の変更や排出権の移転にかかるシステム障害等)が発生した場合には、環境保全活動を目的とする公益社団法人・公益財団法人・国際機関・自治体認定NPO法人・地方自治体やそれに準じた組織に対して、本社債の償還までに、SPTsの達成状況に応じた額の寄付を行う(SPTsの達成状況に応じた寄付額については、上記の排出権における記載を参照)。最終的な寄付先については、SPTs未達成の要因を精査の上、機関決定する。
主幹事 野村證券株式会社(事務)、大和証券株式会社、みずほ証券株式会社
ストラクチャリング・エージェント(※3) 野村證券株式会社
  • ※1 サステナビリティ・リンク・ボンドとは、あらかじめ定められたサステナビリティ/ESGの目標を達成するか否かによって条件が変化する債券をいいます。サステナビリティ・リンク・ボンドの発行体は、当初定めた時間軸の中で、将来の持続可能性に関する成果の改善にコミットします。具体的には、発行体があらかじめ定めた重要な評価指標(KPI)とサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)による将来パフォーマンスの評価に基づいた金融商品であり、KPIに関して達成すべき目標数値として設定されたSPTsを達成したかどうかによって、債券の条件が変化します。
  • ※2 サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)とは、サステナビリティ・リンク・ボンドの発行条件を決定する発行体の経営戦略に基づく目標をいいます。
  • ※3 ストラクチャリング・エージェントとは、サステナビリティ・リンク・ボンドのフレームワークの策定やセカンドパーティーオピニオンの取得への助言などを通じて、サステナビリティ・リンク・ボンドの実行支援を行う者を指します。

サステナビリティ・リンク・ボンドの詳細は、以下をご確認ください。

サステナビリティ・リンク・ボンド適格性に関する第三者評価

当社は格付投資情報センター(R&I)に委託し、本フレームワークの信頼性と環境、社会への効果、SLBP2020への適合性について、セカンドパーティーオピニオンを取得しています。

サステナビリティ・リンク・ローン・フレームワーク策定

長瀬産業が株式会社三菱 UFJ 銀行と共同で策定したサステナビリティ・リンク・ローン(以下SLL)(※1)フレームワークは、環境省が募集する「令和4年度グリーンファイナンスモデル事例創出事業に係るモデル事例」(※2)モデル事例として採択されました。

フレームワークのスキーム

フレームワークのスキーム

フレームワークの特徴

・サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)にGHG排出量の一次データ(※1)比率を採用
・自社のみならずサプライヤーもこのフレームワークを活用した借入を可能にすることで、サプライチェーン全体でGHG排出量可視化・削減に向かうように設計

NAGASEグループのScope3 削減目標と SPTs

NAGASEグループのScope3 削減目標と SPTs

サステナビリティ・リンク・ローン・フレームワークの詳細は、以下をご確認ください。

サステナビリティ・リンク・ローン適格性に関する第三者評価

当社のサステナビリティ・リンク・ローン・フレームワークは、環境省とその請負事業者である株式会社日本格付研究所により、「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン2022年版」及び「サステナビリティ・リンク・ローン原則2022」と適合すると確認されています。

取り組み事例

LCAへの取り組み

ライフサイクルアセスメント(LCA)とは、原材料の調達から、生産、流通、使用、廃棄に至る製品のすべてのライフサイクルにおける投入資源、環境負荷およびそれらによる地球や生態系への潜在的な環境影響を定量的に評価する手法です。NAGASEグループは、グループ製造会社の戦略商品を中心にLCA算定をすすめています。LCA製品の算定により、設計段階でのCO2排出量をはじめとした環境影響指標の算定の取り組みを推進しています。

「GXリーグ基本構想」への賛同

長瀬産業は、経済産業省が公表した「GXリーグ基本構想」に賛同しています。GXリーグは、GX(グリーントランスフォーメーション)に積極的に取り組む「企業群」が、官・学とともに経済社会システム全体の変革に向けた議論や新たな市場の創造に向けて協働する場とされています。当社では、2050年までにGHG排出量を実質ゼロとするカーボンニュートラルの達成を掲げています。具体的な削減方法として、全体施策および4つの個別施策を掲げていますが、GXリーグでは個別施策①「サプライチェーンによる排出量の可視化など」個別施策③「低炭素製品・削減ソリューションの提供、環境対応型設備の導入など」を取り組みテーマとしていきます。また、「zeroboard」を活用した組織単位でのCFP(Scope3)算定支援や、IT企業との協業による製品単位でのCFP算定トライアルなどを通じて、政府が掲げるカーボンニュートラルの目標達成に貢献してまいります。

GXリーグ基本構想

小型電動車を活用した支線物流の最適化実証事業

日本のGHG排出量の約2割は運輸部門からのものであり、NAGASEグループは、低炭素化社会の実現には、モビリティにおける排出量削減が重要な課題であると捉えています。2022年に長瀬産業では、小型電動車(EV)を宅配業務の現場で運用する実証実験を行いました。これは小型EVの活用促進を通じて、社会全体のEV化に貢献することを目的としています。物流業界では人手不足が深刻化しているだけでなく、脱炭素化に向けた社会要請も高まっており、実証を通じて、コストや業務効率、CO2排出量削減などで改善が見られるかを検証しました。この実証実験は、経済産業省が募集する令和3年度「無人自動運転等の先進MaaS実装加速化推進事業費補助金」に、長瀬産業が提案した「小型電動車を活用した支線物流の最適化実証事業」が採択され、行いました。

小型電動車を活用した支線物流の最適化実証事業

EV蓄電池の残存価値評価サービス事業化に向けて

NAGASEグループでは、EVの普及が進むなか蓄電池の使い捨てによる環境への影響は重要な社会課題になると捉えています。
長瀬産業は、EV搭載の車載蓄電池の循環構造構築を目指すBACE(Battery Circular Ecosystem)コンソーシアムに参画しており、(株)日本総合研究所、カウラ(株)、日置電機(株)、三井住友ファイナンス&リース(株)、横河ソリューションサービス(株)と、中国国内での蓄電池残存価値評価サービスの事業化を目指す協定を締結し、事業化検証を行っております。
長瀬産業は、グループ会社である広州長瀬貿易有限公司を中心に、中国で保有する各種ネットワークを活かし、他の参画企業と連携しながら、サービス提供の開始を目指します。

EV蓄電池の残存価値評価サービス事業化

大日本印刷と共同で CFP 算定のコンサルティングサービスを開始

長瀬産業は、出版物や包装材、エレクトロニクス、ヘルスケアなどの分野で事業を展開する大日本印刷株式会社(以下「DNP」)と共同で、化粧品・医薬品に対して、原料やパッケージも含めたライフサイクル全体の GHG 排出量を可視化する、カーボンフットプリント(以下 CFP)(※1)算定コンサルティングサービスの提供を 2023 年7月より開始しています。

パッケージ製品の原材料調達から製造、廃棄・リサイクルまでのライフサイクル全体の GHG 算定に関して長期にわたり取り組んでいる DNP と、化学系専門商社として培ってきたネットワークやノウハウをもとにサプライヤーや顧客などサプライチェーン全体のGHG 排出量可視化・削減支援を進めている長瀬産業の強みを掛け合わせ、CFP 算定に関する一気通貫したコンサルティング支援を行い、カーボンニュートラル実現を目指していきます。

気候変動に関するデータ