労働慣行に対する基本的な考え方(NAGASE人事方針)

NAGASEグループが経営理念に掲げる「誠実正道」の精神や、ビジョンに掲げる「人々が快適に暮らせる安心・安全で温もりある社会」実現のために、「多様性の尊重(受容と活用)」「労務と職場環境」「人財育成」「評価と処遇」から構成される人事方針を定めています。また、労働時間/時間外労働に関する現地法の遵守や過重労働時間の削減に関する明確な方針について、「最低賃金・生活賃金の支給方針」「長時間労働削減に対する方針」で定めています。

NAGASE人事方針

多様性の浸透(受容と活用)

・グローバルな成長を実現するためのダイバーシティの推進

労務と職場環境

・会社による健全な職場環境の提供と社員による質の高い労務の提供

人財育成

・社員一人ひとりの主体的な成長意欲を尊重し、社員の能力開発支援する

評価と処遇

・信賞必罰に基づくメリハリのある評価・処遇の推進

変革を推進する人財の強化

中期経営計画「ACE 2.0」では、人財、環境、文化におけるそれぞれの施策を好循環でまわすことで、社員と会社のエンゲージメントを向上させ、「社員と会社の持続的な成長と発展」を実現することが示されています。

項目 目指すべき方向性や施策
人財 ・優秀な人財の獲得や育成
・適所適材な配置(タレントマネジメント)
・健康経営
環境 ・社員が創造性を発揮できるオフィスづくり
・働き方改革
文化 ・ダイバーシティ&インクルージョン推進
・多様な個性が輝き、挑戦し続ける文化、風土の醸成
人材強化

長時間労働削減に対する方針

長瀬産業では、「安全衛生・健康づくりの方針並びにガイドライン」の中で、長時間労働削減に対する明確な方針を定めています。長時間労働による健康障害防止のため、会社は長時間労働を行う従業員に対し産業医面談を義務づけるとともに、産業医は、従業員および会社に対して助言指導を行います。従業員および会社はこれを遵守し、長時間労働を回避するよう努めるものとします。

人事制度の相互関係

人事制度においては、経営方針・計画や、成果・職務レベルに応じて各種制度がルール化されています。またそれぞれの諸制度が相互に関係しています。

人事制度

最低賃金・生活賃金の支給方針

長瀬産業では、各国の労働法令を遵守した労務管理を行っています。賃金においても、各国における最低賃金の規定を遵守するだけでなく、それを上回る賃金を支払うことを基本的な方針としています。当社における2022年度の平均年間給与は1090万円です。

労使関係・労働問題についての方針

労使協議については、労使協議の場を設け、労働条件や労働環境などの課題について労使間で情報共有を図り、労使一体となって課題解決にあたっています。 また、各国の労働法制に則り、海外拠点においても最低賃金や総労働時間の厳守、安全・衛生的な職場の提供、労働組合と良好な労使関係の構築に努めています。2023年4月1日時点、従業員組合と会社との協定に基づき非組合員とされる者(管理職相当の資格にある者、職務の性質上非組合員とすべきと個別に合意した者等)を除く全従業員が加入しています。

ダイバーシティ

ダイバーシティに対する考え方

NAGASEグループでは、ダイバーシティを重要な企業戦略のひとつとして位置付けています。 現在、NAGASEグループでは、性別、国籍、年齢、価値観やライフスタイルの異なる多様な社員が働いています。 このような多様な社員の発想・視点を尊重することで、社内における議論を活発化し、新たな発想を生むことが対外的な競争優位性の源泉となり、結果としてNAGASEグループが発展するとともに、社員一人ひとりの成長につなげることができると考えています。

ダイバーシティに対する考え方

障がい者雇用

NAGASEグループでは、健常者と障がい者が、共に生き生きと働ける職場づくりに努めています。また労働環境面では、障がい者一人ひとりの能力を尊重し、それぞれの障がいの特性に応じて気持ち良く働ける職場づくりの実践に努めています。

特性に合わせた幅広い障がい者雇用の実現

長瀬産業

長瀬産業では、2022年8月1日より障がい者6名と管理人2名を採用、株式会社エスプールプラスが運営する屋内農園「わーくはぴねす農園Plus横浜」(横浜市)にて就労を開始しました。屋内農園では、水耕栽培設備で葉もの野菜を栽培しており、収穫した野菜は「子ども食堂」などの施設への寄付を予定、また障がい者雇用への理解促進のために社員への配布を行っています。

また、東京、大阪、名古屋の各事業所では、障がい者雇用のマッサージ師によるマッサージ室を設置。社員が自由に利用できることにより福利厚生の向上に貢献しています。その他、清掃や在宅による入力業務等、各々の障がい特性に合わせた雇用を実現しています。

特性に合わせた幅広い障がい者雇用の実現

ナガセケムテックス

ナガセケムテックス(株)は、障がいのある方や働き続けたい高齢者に向け、安全・安定・安心な働く機会を提供し、地域社会へのつながりを深めるためにナガセミライ(株)を設立しました。

ナガセケムテックス播磨事業所内で庶務・清掃などの受託サービスを開始し、将来的には、地域課題に寄り添いつつ、農産物の生産・加工・販売を含め、さらなる働く機会の拡充を目指します。

ナガセケムテックス 画像
ナガセケムテックス 画像

外国人社員

NAGASEグループは世界の様々な国・地域で事業を展開しています。多様な社員の発想・視点を尊重するという基本的な考え方に基づき、国/地域・拠点ごとのニーズに合わせて優秀な人財を登用することに力を注いでいます。

女性活躍

NAGASEグループでは、女性社員の活躍をダイバーシティ推進の重要な取り組みの一つと捉えています。これまでも女性総合職の採用や管理職への登用、活躍の機会の拡充などにより、女性の力を積極的に事業に活かす努力をしています。女性管理職の数は増えてきているものの、決して多いとはいえず、今後の課題であると認識しています。また、全社員に占める女性の比率が少ないこともあり、今後は定期採用においても女性比率の向上を目指していきます。また、女性取締役と中堅女性社員のタウンミーティングを実施し、女性社員が能力を発揮し、働きやすい環境づくりに努めています。

タウンミーティング

女性社員への期待

前向きで高い問題意識を持つ NAGASEグループの女性社員の活躍に期待

タウンミーティングは、さまざまな世代の意外性のある女性社員との出会いがあり、私自身にとっても貴重な学びの機会となっています。皆さんそれぞれが前向きで明るく、NAGASEグループで働くことをポジティブに捉えています。しかし、まだ女性社員は少数であるために従来のNAGASEグループのやり方に自分を時には無理に合わせることにより、全体のバランスを保つ努力や工夫をされているようで、多少のやりにくさを感じていることも対話のなかで確認できました。

まだ数が少ないがゆえに、女性社員の一人ひとりの問題意識が高いことも印象的でした。すべての世代の女性社員が、後に続く女性社員を含む後輩が活躍できるよう、さまざまな問題に向き合い、悩み、深く考え、解決に向けて取り組んでいます。

サステナビリティに注力していくNAGASEグループにとって、女性社員は推進の中心を担っていきます。ぜひ彼女たちにのびのびと活躍できる舞台を提供し、すくすくと育ってリーダーシップを発揮してもらうことを願っています。少ないからこそ思い切った変革を起こす大きなインパクトを与えることができ、またステレオタイプに縛られない発想や行動が可能になります。NAGASEグループの女性社員の活躍に期待しています。

社外取締役
野々宮律子

女性活躍に関する目標

長瀬産業では、以下の女性活躍推進に関する目標を掲げています。

指標 バウンダリー 2021年度 2022年度 2025年度目標
総合職女性採用比率 長瀬産業(単体) 19% 16% 30%以上
女性管理職比率 長瀬産業(単体) 4.6% 4.3% 6%以上

女性活躍推進法に基づく行動計画

目標① 総合職の採用全体に占める女性の割合を30%以上に向上させる。

<取組内容>

2023年5月~2026年3月末
・女性総合職社員が登壇するセミナー等の開催回数を増加させる。
・ホームページ等における女性活躍関連情報の拡充によるプランディング強化。

目標② 管理職に占める女性の割合を6%以上に向上させる

<取組内容>

2023年5月~2026年3月末
・次世代リーダー候補の女性を対象とした研修の実施(外部研修への派道を含む)。
・管理職に対するダイバーシティ関連研修の実施。

目標③ 年次有給休暇取得率を70%以上に向上させる。

<取組内容>

2023年5月~2026年3月末
・取得率の低い社員に対する定期的な取得促進の実施。
・エンゲージメントサーベイに基づくエンゲージメント向上施策実施による取得しやすい雰囲気の醸成。

労働に関する国際規範の遵守

NAGASEグループでは、世界人権宣言やOECD多国籍企業行動指針、国連グローバル・コンパクトが掲げる4つの労働原則の基本原則を支持し、従業員に対して労働基本権を保障しています。また、結社の自由と、労働組合が労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)を保有することを支持しています。

労働問題に関する取り組み

児童労働・強制労働の防止

NAGASEグループでは、現在まで児童労働・強制労働は発生しておりません。また、今後も児童労働・強制労働が発生しないよう、各国の法令遵守を徹底するとともに、定期的なモニタリングを実施しています。

従業員代表を企業経営に関与させるメカニズム

長瀬産業では、従業員代表と会社が対話する仕組みとして、年に数回の対話を通して労使間で適正な労働環境・労働条件の実現を目指しています。

長時間労働削減

長瀬産業では、部門別の平均時間外労働時間数と累計時間外手当額を社内サイトで開示し、時間外労働の可視化を図っています。時間外労働が慢性化している部門へは人事総務部がアクションプランの策定をサポートするとともに、衛生委員会とも協働し、全社を挙げて時間外労働削減に向けた取り組みを行っています。2022年度の時間外労働時間は、全社平均16.2時間/月で、2021年と比較して8.8%減少しました。

日本貿易会 委員会・連絡会への参加

長瀬産業は、日本貿易会の人事委員会・サステナビリティ推進委員会に参加しています。2022年度は人的資本の情報開示に関する連絡会へ参加し、取り組みの推進および積極的な情報開示を行っています。

雇用における宗教・文化的配慮

外国人社員および、来客者の増加に対応し、東京本社に多目的室を設置し、礼拝場所として使用できる環境を整備しています。

シニアの活躍支援

シニア層の活躍支援のために、定年後の「嘱託再雇用制度」導入しています。

労働基準違反報告

2022年度長瀬産業(単体)における労働基準法違反の事例はありませんでした。

現地雇用、現地調達について

NAGASEグループは、事業を展開するさまざまな国、地域との良好な関係を構築し、地域経済、地域社会に貢献していくうえで、現地社員を採用することによる雇用創出、現地調達が重要な役割を果たすと考えています。この考え方を踏まえ、今後は現地での雇用創出・現地調達を進め、事業を展開するさまざまな国、地域の発展に貢献します。

従業員エンゲージメント向上プロジェクト

NAGASEグループでは、「従業員エンゲージメント」= 会社(組織)と従業員が相互に理解し合い、お互いを高め合う状態と定義し、エンゲージメント向上のための取り組みを推進しています。
経営層をオーナーとする「従業員エンゲージメント向上プロジェクト」を起点として、「タテの対話」と「ヨコの連携」の推進を当社における優先順位の高い課題と設定しました。事業部長間の営業連絡会の刷新、本部長間の管理部門連絡会の新設、取締役と統括者による対話会の新設、東京本社でのABW導入による組織間コミュニケーションの活性化などの施策を実施した結果、非財務目標である2つのKPIは共に下記の通り進捗致しました。

KPI 2022年度実績
従業員エンゲージメント 長瀬産業:エンゲージメントサーベイ トータルスコア 60以上 トータルスコア:56.5 (2021年度 52.4)
グループ会社:定期的にエンゲージメントサーベイを実施している割合 100% 定期的にサーベイを実施している割合:81%(2021年度 41%)

面談やタウンミーティングの実施

各部門での定期的な面談に加え、新卒入社、中途入社者を対象とした面談やタウンミーティングを実施し、課題の把握などに努めています。2022年度は、取締役1名と課統括4~5名が小グループで特定テーマについて対話を行う、「N-Dialogue」を実施しました。(写真)「N-Dialogue」は、当社の従業員エンゲージメント・サーベイから導いた課題の一つである「タテの対話」と「ヨコの連携」を改善する施策のひとつとして位置付けており、課統括と経営陣が本音で対話を行い、それを通してそれぞれの培ってきた「経験や価値観」、そしてそれらの「違い」を知ることで、共感や新しい理解が生まれること、今後の行動変革のきっかけとなることを目的としています。

N-Dialogue実施の様子

N-Dialogue実施の様子
N-Dialogue実施の様子

PROJECT BRIDGE

「PROJECT BRIDGE」は、長瀬産業東京本社建替えに伴うオフィスと働き方のアップデートプロジェクトです。建て替え期間中はオフィスを仮移転し、その日の仕事の内容や状況に応じて社員自らが働く場所を選択できるABW(アクティビティ・ベースド・ワークプレイス)を22年8月より採用しています。22年1月からドレスコードフリー(年間を通じて、その日の働き方に最適な服装を選択することが可能)も実施。オフィスをもっと「ワクワク・イキイキ」する場所に。プロジェクトでは、NAGASEの財産である従業員とその家族が心身ともに健康であることが大切であることを改めて確認し、多様な社員が働きやすい環境づくりに向け議論や取り組みを進めています。

PROJECT BRIDGE1
PROJECT BRIDGE2
PROJECT BRIDGE3
PROJECT BRIDGE4
 

労働慣行に関するデータ