労働安全衛生

労働安全衛生に対する基本的な考え方

NAGASEグループは、全ての事業活動において「人間尊重」を基本理念としており、労働安全衛生は事業活動を推進するうえで重要な前提条件の一つと考えています。労働安全衛生活動を積極的に行うことで、継続的な改善、安全で明るく快適な職場の形成と「事故・災害ゼロ」を目標とした活動を推進しています。

サプライチェーン上のステークホルダーに関する労働安全衛生の方針は、調達基本方針の「2. 従業員の人権保護」をご参照ください。

労働安全衛生基本方針

  • NAGASEグループ全従業員が一丸となり、社員、コントラクター含む全てのステークホルダーの安全第一で無事故無災害の職場を目指します。
  • 職場から負傷・疾病の芽を取り除き、健康で安心して働ける職場環境づくりに努めます。
    とりわけグローバルな健康課題であるHIV / エイズ、結核、マラリアなどに対し、その防止に注力します。
  • 労働安全衛生に関連する法令及び同意するその他の要求事項を遵守します。
  • 本方針を目標に展開・実行し、定期的にレビューを行い活動方法及び成果の継続的改善を行います。
  • 労働安全衛生マネジメントシステムを有効に活用するため、取締役会での決議に基づき適切に経営資源を投入します。

労働安全衛生・健康経営の推進体制

NAGASEグループの労働安全衛生マネジメントは、担当取締役を最高責任者に任命し、労働安全衛生の管理の主体である各組織を人事総務部が取りまとめ、担当取締役が最高責任者として取締役会へ報告しています。

NAGASEグループにとって、それぞれの職場において従業員の安全・健康を確保することは、企業として果たすべき重要な責任のひとつです。

国内外のさまざまな地域で活躍する従業員とその家族が安全・健康であることを望むとともに、従業員が安心して働けるよう、事件・事故・災害等の緊急事態における対応、健康管理に対する万全な体制の構築に努めています。

また、製造拠点における災害発生リスクに対しては、従業員のけがなど労働災害を未然に防止するため、各製造拠点の実情に応じた取り組みを実施するなど、各種安全衛生活動に取り組んでいます。万が一、災害が発生した場合は即時対応するとともに、事例をもとに安全衛生の管理水準向上に向けてさまざまな改善施策を講じています。

当社では衛生委員会を月に1度開催し、産業医から助言を受けながら職場巡視も含めた職場環境の改善や健康に関するテーマについて協議しています。またストレスチェックや健康診断の結果分析の実施を通じて社員の健康や労働環境の改善を図っております。

労働安全衛生・健康経営の推進体制図

グループ製造業連携委員会・労働安全分科会

グループ製造業連携委員会の労働安全分科会では、安全衛生診断・フォローアップ診断の推進(年1回以上)、講習・研修など現場力の向上、労災情報の共有などによる情報発信によりNAGASEグループの労働安全活動を推進しています。

安全衛生診断・フォローアップ診断

労働安全分科会では、外部コンサルタントによる安全衛生診断を各社で順番に行っています。(22年度は3社)また前年度以前に安全衛生診断を行った会社を対象としたフォローアップ診断を行い改善状況を確認することで、労働安全衛生活動におけるPDCA(Plan-Do-Check-Action)が機能するように取り組みを行っています。

労働安全コンサルタントによる 安全衛生診断の事例(ナガセケムテックス)

工具の整理整頓

工具の整理整頓

作業ステップへの手すり設置

作業ステップへの手すり設置

ナガセケムテックス安全体感研修センターでの研修

安全体感研修では、労働災害についての実例を交えた講義と、体感装置を使用した粉じん爆発体感やVベルト巻き込まれ体感などを行い、安全の重要性を学ぶ機会を提供しています。2022年度は9社から82名が参加しました。

ナガセケムテックス安全体感研修センターでの研修

労働災害発生状況

2022年度の労災発生原因は、「切傷・熱傷:6件」「転倒・挟まれ・落下・打撲:7件」「被液:1件」等でした。グループ製造業連携委員会では、当該労災について、タイムリーに労災事例(発生内容、原因、対策)をグループ内へ共有し、注意喚起を行うことで類似災害の再発防止に向けて取り組んでいます。さらに、定常・非定常作業など発生要因を分類・分析することにより本質的な改善につながる様、労災の未然予防や危険感受性の向上に役立てています。また、同委員会では、管理職向け研修などの人財育成、設備・インフラの整備、ISO45001の取り組みサポートなどの仕組み、他社取組事例の共有などグループ連携を推進しています。

労働安全衛生の目標

バウンダリー 2022年度目標
NAGASEグループ(正社員・契約社員・嘱託社員等) 【定量】
労災件数:ゼロ
度数率:1.00以下を維持
労災頻度:1.00以下(2023年度までに)

ISO45001の認証取得

NAGASEグループでは、製造業のグループ会社を中心にISO45001の認証を取得しています。

長瀬産業及び国内関係会社

会社名 ISO45001
労働安全衛生
(株)キャプテックス
ナガセケムテックス(株) 播磨/堺

ナガセケムテックス(株)
福知山事業所「安全衛生に係る優良事業場、団体又は功労者に対する厚生労働大臣表彰」奨励賞

ナガセケムテックス(株)福知山事業所(現 ナガセヴィータ(株)福知山事業所)が、令和4年度「安全衛生に係る優良事業場、団体又は功労者に対する厚生労働大臣表彰」の奨励賞を受賞いたしました。「奨励賞」は「優良賞」(17事業場)に次ぐ、安全衛生に関する水準が優秀で、他の模範になると認められる事業場を表彰するもので、ナガセケムテックス(株)福知山事業所を含む15事業が受賞しています。なお、福知山事業所では、2003年1月23日より17年8ヶ月間に渡り、不休災害※を除く無災害期間を継続しており、2022年3月には、厚生労働省より無災害記録証 第3種を授与されています。

  • 業務中の災害であり、医療機関等で手当てを受けたもので、被災日の翌日以降1日も休業しなかったもの

健康経営への取り組み

NAGASEグルーブでは、グループ従業員の健康の維持向上を支援すべく「NAGASE健康宣言」を策定・公表し、これを推進しています。また、この考え方は、グループの従業員に限らず、企業活動に関与する全てのステークホルダーに適用されます。

NAGASE健康宣言

NAGASEグループは、「人々が快適に暮らせる安心・安全で温もりある社会」を目指しています。そのためには、グループの財産である、従業員とその家族が心身ともに健康であることが大切であり、最も重要な経営課題です。NAGASEグループでは、長瀬産業株式会社代表取締役社長を最高責任者とし、従業員一人一人の健康維持・促進のための各施策を推進します。

例えば、毎月開催する衛生委員会の場では、「柔軟な働き方」「有給休暇の取得の促進」「職場環境の改善」を主要な取り組み課題とし、社員からの職場・勤務環境に関するアンケート結果も活用しながら、社員がより働きやすい職場環境の構築について労使共同で協議を重ねています。

長時間労働削減に対する方針
安全衛生・健康づくりの方針並びにガイドライン

長瀬産業では、長時間労働削減に関して、以下の安全衛生・健康づくりの方針並びにガイドラインを制定し、運用しています。

安全衛生・健康づくりの方針並びにガイドラインの目的

従業員:自らの健康の維持・管理を行って「心身ともに健康」に働き、健全な労務提供を行う。
会社:安全衛生及び健康推進活動を進めることによって、従業員の安全の確保および健康づくりを支援する。

施策及び具体的な取り組み

海外赴任者への医療サポート

NAGASEグループは世界中で事業を展開しており、世界的な健康問題である三大感染症と呼ばれるHIV、結核、マラリアへの対応は重要であると認識しています。海外勤務者には、海外勤務者規定で赴任前健康診断、赴任中健康診断、帰国後健康診断および赴任前予防接種を受けることを義務づけています。

禁煙チャレンジ強化推進

世界保健機関(WHO)で「新型コロナウイルス感染症とたばこの関係」がテーマ化されるなど、禁煙及び受動喫煙防止の普及啓発が世界的に叫ばれています。NAGASEグループでは、従業員およびその家族を対象とした「禁煙チャレンジ」を推進しています。会社が禁煙外来の治療終了までの自己負担額を上限2万円まで実費補助をしています。

健康支援施策

健康診断(定期健康診断、生活習慣病健診、年輪健診、海外渡航者・一時帰国者・帰国者の健康診断) / 特定健診・特定保健指導 / 各がん検診 / 郵送がん検診 / 歯科検診 / インフルエンザ予防接種実施 / 治療と仕事の両立支援 / 女性の健康保持促進への支援 / 家庭用常備薬の配布・あっせん / ファミリー健康相談 / ベストドクターズ・サービス

メンタルヘルス対策

メンタルヘルスカウンセリング / メンタルヘルス研修 / 復職サポート / ストレスチェック

健康促進

長瀬クラブによる部活動 / 事業所内マッサージ室設置 / ウォーキングイベント実施 / 禁煙デーの設置 / 禁煙サポート / 保養施設の利用促進 / 長時間労働削減対策 / 週一回のノー残業デー設定 / 部署ごとの時間外勤務状況の掲示

睡眠改善セミナー

長瀬産業が2021年12月に出資した、筑波大学発スタートアップ株式会社S’UIMINによる睡眠セミナーが開催されました(2022年8月)。近年コロナ時代の生活様式の変化が睡眠に影響しているという指摘など、生活習慣病や認知症などの重大疾患と睡眠の関係も明らかになりつつあります。セミナーでは、よく眠るコツなど集中力やQOL(Quality of Life)を高めるために大切なことについても言及され、社員の睡眠の質改善に有益な講演内容でした。

睡眠改善セミナー

健康アプリ活⽤によるヘルスリテラシーの向上

健康経営を推進するためには、従業員のヘルスリテラシー(健康や医療に関する情報を探し、理解し、活用する能力)が重要です。長瀬産業では、健康アプリを導入し、歩数・体重・体温・睡眠等の管理や食事記録・カロリー管理を通じて、ヘルスリテラシー向上に努めています。

「NAGASE禁煙塾」開設 喫煙率減少に向けた取り組み

喫煙者を対象に「NAGASE禁煙塾」を開設。半年間、参加者同士で禁煙の進捗確認や悩みを相談しながら完全禁煙もしくは大幅禁煙に繋げています。

働き方改革に向けた取り組み

NAGASEでは、グループ全体の生産性・ワークライフバランスを高めていくために、個々の従業員が生産性・効率性を踏まえたメリハリのある働き方をすることが重要と考えています。

こうした考えのもと、NAGASEでは従業員の働き方の改善に向けた議論や取り組みを進めています。

働きやすい環境づくりのための各種制度・施策

制度・施策 概要
配偶者出産休暇 配偶者の出産日当日に与える休暇
フレックス勤務 (研究・開発業務従事者対象)業務の都合に合わせて、社員が自律的に出社や退社の時刻を決定することを認めるもの
リフレッシュ休暇 心身のリフレッシュを図ることを目的として、勤続満15年目の社員に与える休暇
ABW(Activity Based Workplace) フリーアドレス、目的に応じた座席で勤務
ハイブリッドワーク 在宅勤務(週3日まで)、サテライトオフィスの利用
ドレスコードフリー 社員それぞれが責任を持って自律的に服装を選択
シフト勤務 いくつかのシフトから勤務時間を選択可能
時間単位有休 1時間単位で有休を分割して取得可能

※ ジョブリターン制度:退職した社員の正社員としての復職が可能

両立支援のための各種制度・施策

育児・介護などと仕事の両立支援のための制度・施策の拡充により、社員が働き続けられる風土の醸成にも注力しています。近年では、育児休暇を取得する男性が増加しています。

男性社員の育児休暇取得実績

出産・育児制度グラフ
育児休暇を取得した男性社員(長瀬産業)

育児休暇を取得する男性写真
(写真:社員提供)

制度・施策 概要
産前産後休暇 出産前6週間、出産後8週間の休暇(休暇期間中も給与/賞与は満額支給)
育児休業・産後パパ育休 育児のための休業(男女ともに)
子の看護休暇 子の看護のための休暇
育児のための短時間勤務制度 育児のための短時間勤務を認めるもの
介護休暇 介護のための休暇
介護休業 介護のための休業
介護のための短時間勤務 介護のための短時間勤務を認めるもの
子育てみらいコンシェルジュ 保育園探しのお手伝いや子育てに関するお役立ち情報の入手が可能なサービス
妊娠中の時差通勤 妊娠期間中は、出退勤において各45分の時差出勤可能(給与減少なし)
育児時間 1日2回、各45分、保育のための時間を取得可能(満1歳未満の子がいる女性)

従業員エンゲージメント向上プロジェクト

NAGASEグループでは、従業員エンゲージメントに関するサーベイを年1回実施しています。サーベイから導き出された課題のなかで、特に”対話”や”コミュニケーション”という観点に注目し、「タテ(部門内)の対話」と「ヨコ(部門外)の連携」をいかに推進するかが、優先順位の高い課題と認識しています。具体的な施策として、新入社員のタテ・ヨコの繋がりを拡げるため、先輩社員も交えた4人一組で一時間のミーティングを組み合わせを変えながら月一回実施しています。2021年のコロナ禍入社社員のフォロー施策として始まった本施策は2023年現在も継続して実施されており、新入社員が社内交流を拡げるためのきっかけとして役立てられています。

労働安全衛生・健康経営に関するデータ