生物多様性に対する基本的な考え方

NAGASEグル―プでは、生態系サービス(供給サービス、調整サービス、生息生育地サービス、文化的サービス)を支える生物多様性に配慮し、その維持・保全に努めることは重要な環境課題であると認識しています。

こうした認識のもと、生物多様性に重大な影響を与える可能性がある事業活動に関して、どのように生物多様性に依存しているのか、また、どのような影響を与えているのかを把握し、生態系への影響を最小化し、回復にも寄与することに努めます。

持続可能なパーム油調達に対する基本的な考え方

パーム油は、熱帯地域における農園開発等による環境破壊、農園労働者の人権侵害等の関連性が指摘されています。NAGASEグループではパーム油の調達において森林減少の排除、生態系の維持・回復、労働者の権利保護を行うことが重要と考えており、持続可能なパーム油の調達を行います。
その取り組みの一環として、2017年8月に環境影響に配慮した持続可能なパーム油の調達を目的とするRSPO「持続可能なパーム油のための円卓会議」に加盟し、継続的にRSPOの会合や説明会に参加するなどサプライチェーン全体でのサステナビリティ普及を推進しています。

また、2025年度中に100パーセント持続可能なパーム油を調達するよう目標を設定しています。

目標と進捗

開示項目 目標項目 バウンダリー 2022年度目標 2022年度実績
生物多様性 影響を与える可能性がある事業活動
持続可能なパーム油の調達
グループ 【定性】
NAGASEグループ「生物多様性に対する基本的な考え方」に沿って、生物多様性に重大な影響を与える可能性がある事業活動に関して、どのように生物多様性に依存しているのか、また、どのような影響を与えているのかを把握し、生態系への影響を最小化し、回復にも寄与することに努める。

【定量】
持続可能なパーム油の調達
100%(2025年度中)
【定性】
達成

【定量】
2022年度進捗
RSPO認証油比率(%):53.6%

事業活動方針

NAGASEグループでは、環境方針および生物多様性に対する基本的な考え方に基づいて事業を展開しています。

新規事業

新規事業について、森林および生物多様性の保全、資源、エネルギー、水資源の有効活用など環境全般に及ぼす影響を事前に調査・評価し、環境保全、負荷低減に努めており、生物多様性と事業活動の両立を目指します。

既存の事業

既存事業について、グループ内のISO14001運営組織が取り組む環境マネジメントシステムのなかで、バリューチェーン全体の生物多様性に関するインパクト評価、行動計画の策定、進捗管理などを行っています。

取り組み事例

高知県梼原町と協定を締結し『森林クレジット創出』実証事業を開始

長瀬産業(株)と梼原(ゆすはら)町は、『森林クレジット創出』(※1)の実証事業を目的として協定を締結しました。本事業は、脱炭素先行地域(※2)としても認定され豊かな森林資源を活かした「未来の森林づくり」に取り組む梼原町の森林管理と、地域社会の課題解決を企業の脱炭素経営支援に取り組む長瀬産業が支援・協業を行うものです。本事業では、長瀬産業が梼原町の森林資源の管理を支援するだけでなく、同社が有する技術知見や幅広い顧客ネットワークによる最新ICT技術等を活かした梼原町の地域活性化への貢献に取り組むもので、梼原町におけるサステナブルな事業共創のモデルケースづくりに取り組むものです。長瀬産業では、梼原町との協業を通じて得られたナレッジを活かし、自社のカーボンニュートラル達成はもとより、森林クレジット創出の支援や、地域社会や林業への価値提供を目的としたソリューション開発を目指します。

  • ※1本事業は、J-クレジットの種別のうち「森林吸収」を示すものです。
  • ※22030年度までに民生部門(家庭部門及び業務その他部門)の電力消費に伴うCO2排出実質ゼロを実現するとともに、運輸部門や熱利用等も含めてそのほかの温室効果ガス排出削減についても、わが国全体の2030年度目標と整合する削減を地域特性に応じて実現する地域です。
高知県梼原町と森林管理に関する連携協定書を締結

林田川流域生態系保全の取り組み

ナガセケムテックス(株)

NAGASEグループでは、生産拠点における生物多様性の保全について重要な課題であると捉えています。ナガセケムテックス(株)播磨事業所は、兵庫県揖保川支流の林田川流域に位置しており、生物多様性の保全を目的として、アユ、カワヨシノボリ、オヤニラミ(絶滅危惧種)などが生育する流域の保全活動(協力金の支払い等)を揖保川漁業協同組合とともに行っています。

NGOへの協力 生物多様性への取り組み

ナガセケムテックス(株)

NAGASEグループでは、森林の保全について重要な課題であると捉えています。ナガセケムテックス(株)では、2010年よりNPO法人タンザニア・ポレポレクラブに使用済み切手を送付し、世界遺産登録キリマンジャロ山(東アフリカ・タンザニア)での植林活動や活動の自立支援、生活改善を支援しています。

環境にやさしいサステナブルプラスチックの普及推進

NAGASEグループでは、環境にやさしいサステナブルプラスチックの普及推進について重要な課題であると捉えています。長瀬産業では、Eastman社・日本代理店として木材を原料とするバイオ材料であるTENITE™セルロースを取り扱っています。TENITE™セルロースは、FSC®(森林管理協議会)によって認証された森林から計画的に伐採した針葉樹によって製造されています。

セルロースの水酸基の一部を無水酢酸とプロピオン酸ないし酪酸で置換し、添加剤(可塑剤)を加えることで成型可能にした樹脂材料であり、バイオ材料の割合は約40%〜50%です。今後も長瀬産業では、環境にやさしいサステナブルプラスチックであるTENITE™セルロースの普及を通じて、生物多様性の保全に貢献してまいります。

TENITE™製造プロセス

TENITE™製造プロセス

生物多様性に関するデータ