NAGASEグループサプライチェーンマネジメント方針
NAGASEグループは、「誠実に正道を歩む」活動を通じて社会への貢献を目指すという経営理念を掲げています。この理念を将来にわたり体現し、事業の持続的な成長を目指すために、NAGASEグループは、サプライチェーン上の責任を最善の努力をもって果たします。
NAGASEグループの全ての役員および従業員は、本方針に基づき、サプライチェーン上の責任を果たすよう努めます。また、サプライチェーン上の取引先へ、理解と遵守をいただくために本方針を共有し、継続的に対話をしてまいります。
I. サプライチェーンマネジメント
1)人権と労働
事業活動において、自らが人権侵害をしないことに加え、サプライチェーン等の取引関係を通じて人権侵害を助長しないよう努めます。
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強制労働・児童労働の禁止
あらゆる強制労働・児童労働を禁止します。また、最低就業年齢に満たない児童を雇用しません。 -
不当な低賃金労働の防止
適用される賃金に関するすべての法令を遵守すると共に、生活賃金以上の支払いに努めます。また、不当な賃金の減額を行いません。 -
差別およびハラスメントの撤廃
人種、信条、性別、性的指向・ジェンダーアイデンティティ、年齢、宗教、国籍、言語、身体的特徴、障がい、財産、出身地等を理由とする差別・個人の人格・尊厳を傷つけるパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメントを行いません。 -
結社の自由の尊重
結社の自由や団体交渉権を支持し、良好な労使関係を構築します。 -
労働環境の整備
安全で健康な労働環境を整備します。 -
地域コミュニティへの貢献
地域住民の権利と生活を守り、地域コミュニティの一員として地域に貢献します。
2)環境保全
事業活動において、環境への影響を特定するとともに、サプライチェーン上の環境および天然資源への負荷軽減に努めます。
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気候変動
GHG排出の抑制やエネルギー消費の低減などの推進による気候変動課題への対応を推進します。 -
廃棄物削減と資源循環
廃棄物の削減や資源の再利用などの推進により地球環境保全に努めます。 -
有害物質管理と汚染防止
有害な化学物質、廃棄物、およびその他の物質を適切に管理し、汚染防止に努めます。 -
水資源
水の利用効率の改善などの推進により水資源の保全に努めます。 -
生物多様性
生物多様性の重要性を認識し、自然生態系の維持に努めます。
3)品質・安全性の確保
提供する商品やサービスの品質・安全性を確保します。
4)公正な取引および腐敗防止の徹底
事業活動を行う各国・地域のあらゆる適用法令、規則を遵守し、公正な取引と腐敗防止を徹底します。
5)情報開示
「NAGASEグループサプライチェーンマネジメント方針」に関する情報の適時・適切な開示を行います。
II. モニタリング
本方針の遵守状況を把握するために、取引先との対話と、定期的なモニタリングを実施します。
III. 遵守違反への対応
本方針への違反のおそれが確認された場合は、NAGASEグループもしくは対象となる取引先の状況を迅速に把握します。NAGASEグループとして対処すべき問題がある場合には、サプライチェーン上の課題として捉え、必要に応じて関連する取引先への要請・支援を行い、改善に努めます。改善がなされない場合は、取引見直しの可能性を排除せず対応いたします。
新規取引先の選定方法
NAGASEグループでは、新規取引時に「NAGASEグループサプライチェーンマネジメント方針」を確認頂き、取引先の皆様には、実践をお願いしております。
取引先監査について
グループ会社のナガセヴィータ(株)では、2023年度に原料であるタピオカの製造メーカー(拠点:タイ)を対象とした実施監査(マネジメントシステム・透明性と事業戦略・労働・安全衛生・環境)を実施しました。
安全保障貿易管理
貿易はNAGASEグループの活動の基盤です。国際社会の一員として法令を遵守した適正な貿易を行うため、安全保障貿易管理委員会が゙輸出管理情勢および外為法等の改正動向、グループ全体の輸出管理に関する内容を把握して全体の方針を決定しています。さらに、商品法令管理責任者会議において、 安全保障貿易管理委員会の決定事項や関係法令の改正内容を各事業部・グループ会社に指導、周知徹底するための協議を行い、法令違反を未然に防止しています。
具体的な管理の仕組み
当社独自の商品総合管理システムにより、輸出する全ての商品・技術、海外顧客情報などをデータ化して管理しています。さらに、外為法およびEAR(米国輸出管理規則)などの輸出許可の必要性を確認し、商品法令管理課が承認した商品のみが輸出できるようシステム化しています。また、法令遵守から一歩進んで、軍事用途や軍関連の取引を原則禁止するなど、安全保障貿易管理に関するNAGASEグループ全体の方針を定めています。
人財育成の取り組み
年々変化する安全保障貿易管理に対応するため、輸出業務に携わる従業員を中心に、安全保障貿易情報センター(CISTEC)が実施する安全保障輸出管理実務能力認定試験の受験を推奨しています。
安全保障輸出管理実務能力認定試験合格者数(累積) | |
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2018年3月期 | 890名 |
2019年3月期 | 947名 |
2020年3月期 | 982名 |
2021年3月期 | 1,033名 |
2022年3月期 | 1,089名 |
2023年3月期 | 1,125名 |
2024年3月期 | 1,166名 |
RSPOへの加盟(正会員)
長瀬産業は、2017年8月に環境影響に配慮した持続可能なパーム油の調達を目的とするRSPO「持続可能なパーム油のための円卓会議」に加盟し、会合や説明会に参加するなどサプライチェーン全体での推進に取り組んでいます。2025年度中に100パーセント持続可能なパーム油を調達するよう目標を設定しています。

Sedexへの加盟
長瀬産業は、倫理的なサプライチェーンの構築を促すSedexへ2019年に加盟しています。

サプライチェーンへの働きかけ
「Zeroboard」によるサプライチェーン上のCO2(二酸化炭素)排出量算出・可視化
「Zeroboard」は、自社のCO2排出量算出の効率化だけでなく、サプライチェーン上のCO2可視化を目的として開発されたSaaS型クラウドサービスです。長瀬産業がネットワークを有する国内外の化学品業界を中心に「Zeroboard」の普及を通じて、脱炭素化社会の実現に貢献してまいります。
「Zeroboard」の詳細は下の「取り組み事例」をご確認ください。
サプライチェーンに関するイニシアチブへの参加
NAGASEグループは、一般社団法人 日本貿易会に加盟しております。日本貿易会が定めた会員各社のためのCSR行動ガイドライン「サプライチェーンCSR行動指針」を支持し、あらゆる取引先と共に CSR活動を推進していきます。
【その他参加しているサプライチェーンに関するイニシアチブ】
一般社団法人近畿化学協会 / 一般社団法人日本化学品輸出入協会 / 一般社団法人日本化学工業協会(JCIA) / 一般財団法人安全保障貿易情報センター(CISTEC) / 日本プラスチック工業連盟 / 一般社団法人日本半導体製造装置協会 / PETトレイ協議会 / 一般社団法人日本流行色協会/日本バイオプラスチック協会 / 一般社団法人日本自動車部品工業会 など
アニマルウェルフェアに関するサプライヤー方針
アニマルウェルフェアに関して、サプライヤー各社様には以下のご対応を依頼します。
動物を試験研究又は生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供する場合には、科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用すること、できる限りその利用に供される動物の数を少なくすること等により動物を適切に利用することに配慮します。また、動物を科学上の利用に供する場合には、その利用に必要な限度において、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によって行います。
紛争鉱物への対応
紛争の存在する地域で産出される鉱物の一部は、非人道的行為をする武装勢力の資金源となって紛争を助長し、人権侵害を引き起こすなどの可能性があると言われています。
NAGASEグループでは、責任あるサプライチェーンの構築・維持の立場から「紛争鉱物」の取引を行う場合には適切な調査を行います。
【紛争鉱物(Conflict Mineral)】
紛争地域およびその周辺国・地域で採掘された鉱物のうち、武装勢力の資金源となっているものを指す。ドッド・フランク法 第1502条で対象となるのは、コンゴ民主共和国およびその周辺国で産出されるタングステン・タンタル・金・錫などを含有する鉱物。
取り組み事例
化学業界向け労働災害体験 VR コンテンツ
近年、サプライチェーンにおける労災死傷者数の増加は深刻な問題となっています。当社の事業領域である化学業界では、主に座学や動画視聴による研修方法が一般的ですが、業界特有のリスクに対する実践的な学習や意識醸成の十分な効果が得られませんでした。「化学業界向け労働災害体験 VR コンテンツ」は、長瀬産業、一般社団法人日本塗料工業会、TOPPAN 株式会社の3 者が連携し、塗料業界における労災削減を目指して制作、販売されています。このコンテンツでは、VR 専用ゴーグルを使用し、化学製造現場で直面する可能性の高い3つの危険な状況を仮想空間で体験できます。座学や動画視聴に比べ、VR による実際の作業環境に即した危険感受性を高める教育を提供することで、危険を「自分ゴト化」して実感し、労災防止への意識を高める効果が期待されています。取引先およびNAGASEグループ内でこのVRコンテンツによる研修を行います。今後は、化学業界特有のリスクに対応したコンテンツの拡充を進め、業界の安全向上に貢献することを目指します。
「化学業界向け労働災害体験 VR コンテンツ」は、TOPPAN が開発した「安全道場 VR®」の販売店である長瀬産業が、化学業界に向けて販売しています。「安全道場 VR®」の専用ゴーグルには、TOPPAN が開発した汎用コンテンツ 10種類が既にインストールされています。今回、長瀬産業が販売する「化学業界向け労働災害体験 VR コンテンツ」は、化学業界向けに新たに 3コンテンツを追加して販売されました。

VR専用ゴーグル

イメ―ジ(撹拌機巻き込まれ)
スマートセルを用いた、希少アミノ酸などの生産プロセスの実用化に向けた共同開発を開始
NAGASEグループでは、従来では大量生産が難しかった複雑な構造を持つ有用物質を高効率で生産することは、原料消費や廃棄物、エネルギー消費の抑制の観点から環境にやさしい開発手法であると捉えています。長瀬産業は、(株)日立製作所、(株)日立プラントサービスとともに、バイオテクノロジーとデジタル技術を組み合わせて、物質生産能力を最大限引き出した微生物(スマートセル)を用いた、希少アミノ酸「エルゴチオネイン(EGT)」をはじめとした有用物質の精密発酵プロセス確立に向けた共同開発を2022年年4月から開始しています。具体的には、長瀬産業、日立、日立プラントサービスの3社が長年にわたり培ってきた経験・ノウハウを活用・融合し、スマートセルを用いたEGTをはじめとした有用物質の生産プロセスの実用化に向け、以下の共同開発の取り組みを開始します。具体的な共同開発内容は以下を予定しています。
(1)培養シミュレーション技術などを用いて、スマートセルの培養工程のスケールアップ条件を予測
(2)ラボ実験や生産プロセス検討で取得したデータを解析し、生産性を最大化するプロセス条件およびスケールアップ条件を探索
(3)生産プロセスのエンジニアリングや最適化方法の確立
今回の共同開発で得た成果を通じて、スマートセルによるEGTの生産プロセスの量産化に向けた課題解決に取り組むとともに、今後さまざまな有用物質へ応用展開することで、環境負荷軽減と生産の効率化を両立し、持続可能で健康・便利な社会の実現をめざしていきます。

「Zeroboard」を活用したサプライチェーン上のCO2排出量算出・可視化
NAGASEグループでは、気候変動問題におけるサプライチェーン上のCO2排出量算出・可視化について重要な課題であると捉えています。長瀬産業では、企業の脱炭素経営の支援を目的として、(株)ゼロボードが開発したCO2(二酸化炭素)排出量算出・可視化クラウドサービス「Zeroboard」の販売・事業展開に伴う業務提携について合意し、化学品業界を中心に本サービスの販売、顧客ニーズの収集、CO2排出量削減のソリューションの開発・提供等を行っています。 世界各国がCO2排出量を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を掲げるなか、「Zeroboard」は、自社のCO2排出量算出の効率化だけでなく、サプライチェーン上のCO2可視化を目的として開発され、2022年度以降、両社共同で、データベースを活用し、CO2排出量削減のソリューション提供を目的とした企業間マッチングプラットフォームなどの事業展開や、外部環境の変化をとらえた効率のよい環境データ算出方法等の提案に取り組んでいます。 本提携により、ゼロボードと長瀬産業は、企業の脱炭素経営のサポートを通じて脱炭素化社会の実現に貢献してまいります。

サプライチェーンの環境負荷に関する取り組み
リサイクルの運営管理とリサイクル材の開発
NAGASEグループでは、サプライチェーン上でのリサイクルの運営管理・リサイクル材の開発について重要な課題であると捉えています。「ナガセアプリケーションワークショップ」を有する長瀬産業では、サプライチェーン上でのリサイクルの運営管理・リサイクル材の開発を通して環境負荷低減に貢献しています。
サイゼリヤが展開するイタリアンレストラン「サイゼリヤ」の全店舗で導入されているトライタン製ワイングラス(石川樹脂工業(株)製)のリサイクルにおいて、石川樹脂へのリサイクル材提供・製品開発をサポートしています。
