中期経営計画「ACE 2.0」

“持続可能な事業”
(=N-Sustainable事業)の創出

顧客、社会が未だ認識していない課題を見つけ出し、
「利益を生み出す解決策」を提供する

“ありたい姿”を実現するための重要な施策の一つが“持続可能な事業”(N-Sustainable事業)の創出です。N-Sustainable事業で目指すのは、事業活動を通して社会・環境課題解決に貢献することにより、将来世代に持続可能な未来を残すこと、そして顧客や社会が将来直面する課題をいち早く認識し、NAGASEグループの“つながり”を活用した革新的なサービスや技術を通して「利益を生み出す解決策」を提供することです。2025年度までに営業利益の15%を目指します。

N-Sustainableでは「環境・エネルギー」「次世代通信関連」「ライフ&ヘルスケア」の3つを代表的な事業領域として定めています。いずれもこれまで培ってきたNAGASEの強みを活かし、既存のビジネスを深化させるだけではなく、新たなビジネスを探索できる可能性を秘めた分野で、社会・環境に貢献する持続可能な事業の創出が期待されます。

N-Sustainable事業の事例

事例 1

化学薬品に頼らないアイエンスの排水処理システム「アクアブラスター」

排水・排気処理システムの開発・設計を手掛ける(株)アイエンスでは、化学薬品に頼らない排水処理システム「アクアブラスター」を開発しました。食品加工工場を中心に化学工場、機器製造工場など、既に幅広い分野で使用されています。

アクアブラスターは、散気管内にある特許技術を搭載した特殊な構造の羽により激しい水流を発生させ、微生物の分解能力を活性・最大化させることで、薬剤や凝集剤を使用することなく汚泥や悪臭の発生を抑え、処理コストの大幅削減を実現します。環境への意識が高まり世界的にも環境規制が強化される中、お客様の大きな課題である環境規制対策とプロセス改善によるコスト低減の双方に貢献することが可能です。

同製品はNAGASEグループのバイオ関連ビジネスを担う(株)林原でも導入しており、排水処理の安定化とコスト削減につなげています。グループのネットワークを活用し、今後はシステム・装置等のハード面の提供だけに留まらず、IoTを活用した24時間監視システムによる省力化等、お客様の課題解決につながるソリューションを幅広く提供します。

事例 2

林原独自の発酵生産技術で製造される植物由来の多糖素材「プルラン」

昨今の自然志向の高まりを受け、従来の化学品や動物由来の原料を用いた製品は避けられる傾向にあります。サプリメント等のヘルスケア分野においても、植物由来で微生物による発酵生産といったグリーンな製法で製造される原料への需要が高まっています。

(株)林原が生産する「プルラン」は、澱粉の分解物と糸状菌の一種をもとに独自の発酵生産技術で製造される植物由来の多糖素材です。結着性が強く、フィルム形成性に優れ、水に溶けやすいという特徴を持ち、食品や錠剤のコーティング、結着剤としての利用に加え、ヘルスケア分野ではカプセル基材として利用されています。林原独自の発酵技術と、何世代にもわたる育種を通じたプルラン生産に最適化された独自の菌株を有していることから、より優れた品質のプルランを製造することができるだけでなく、カプセルの品質向上に寄与する特許も保有しており、カプセル用途向けでは世界有数のカプセルメーカー、ロンザ社へ原料を長年供給しています。

(株)林原ではこれまで培ってきた技術を強みに、今後もビーガンやベジタリアンなどオーガニック製品を求める消費者に新たな製品を届けられるよう、研究開発に取り組みます。

©2021 Lonza, under license

事例 3

石化材料に代わる、バイオ由来かつ生分解性の素材を用いたPLA繊維

ポリマーグローバルアカウント事業部では、様々なバイオ素材の実用化につながる「改質」を中心に研究開発を進めています。

その一例がサトウキビやトウモロコシを原料とするPLA(ポリ乳酸)樹脂改質です。パートナー企業の協力のもと結晶化度を上げることで耐熱性・強度を向上させ、繊維産業に展開しています。2021年より一部量産をスタートし、国内アパレルメーカーなどの環境に配慮した衣類で実績を作りPLA繊維に対する認知を向上させる方針です。バイオ由来かつ生分解性の素材を用いることで繊維ごみが最も多いといわれる海洋プラスチックごみ削減への貢献も期待されます。また、グループ会社である米国Interfacial Consultants社の各種フィラー高濃度マスターバッチ化技術を応用し、高機能食品包材への展開に向けた開発を進めるほか、各種シート・フィルム向けにPLAをベースにした環境配慮型配合の検討も始めています。

今後もバイオ素材の多用途での実用化を促進し、石化由来樹脂の削減を通じた脱炭素社会への貢献を加速します。

写真提供:株式会社オンワード樫山

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